2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチン構造の確立と維持に関わる分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
16687009
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 潤一 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, チームリーダー (60373338)
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Keywords | ヘテロクロマチン / RNAi / 分裂酵母 / Eri1 |
Research Abstract |
1.RNAを介したクロマチン構造変換に必要な新規因子の機能解析 分裂酵母では、RNAiに関与する因子が高次クロマチン構造の形成に関与するが、詳細な制御機構については不明な点が数多く残されている。本年度の研究では、その制御機構を明らかにする目的で、他の生物種でRNAiを負に制御することが示されている、二本差RNA特異的な分解酵素Eri-1に着目し、その相同因子について解析を行った。その結果、まず分裂酵母のEri-1が実際に二本差のRNAを特異的に分解する活性を有すること、またeri1+の遺伝子破壊によって、サイレンシングが増強されることを見いだした。この結果は、核内のヘテロクロマチン化という全く異なる現象においても、Eri1が負の制御を行っていることを示唆している。さらに詳細な解析を行うことで、1)Eri1の機能が他のRNAi因子(Ago1,Dcr1,Rdp1)に依存し、RNAi経路を介して作用していること、2)eri1+の変異で核内のヘテロクロマチン構造の変化が起きていること、3)eri1の欠損株では短いsiRNAの異常な蓄積が見られること、が明らかになった。以上の結果は、核内の高次クロマチン構造形成が、siRNAの存在量によって制御されるという機構を強く示唆する結果と考えられる。 2.二本鎖RNAによって起こるクロマチン構造変化の解析 Eri1によるクロマチンの制御機構をさらに解析する目的で、Eri1,Dcr1,siRNAの細胞内局在を詳細に解析した。その結果、いずれの因子も核ではなくそのほとんどが細胞質に局在していることが明らかとなった。以上の結果は、これまで核内だけの現象として考えられていたヘテロクロマチン化の機構が、細胞質でのsiRNAのプロセスを介して制御されているという、新しい制御機構の存在を強く示唆する結果と考えられる。
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