2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの不揮発性フェロモン物質の構造決定と受容体の同定
Project/Area Number |
16688005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 和成 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (00280925)
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Keywords | フェロモン / マウス / 鋤鼻器官 / 構造決定 / 遺伝子発現誘導 |
Research Abstract |
哺乳類のなかでもネズミやマウスなど鰯歯類では、フェロモン物質(体外に放出されて特有の生理的な効果を引き起こす物質)が、性差や異種の識別、異性生殖機能の状態の識別、性周期・成熟度・性行動のタイミング、攻撃行動などを制御していることが知られている。本年度は、様々な性、週齢、系統マウスの組み合わせによるフェロモン応答を鋤鼻器官で解析した。BALB/c系統の10週令のメスをBALB/c成熟オスの床敷に曝し始めてから1時間半から3時間後に、鋤鼻器官におけるc-Fos発現誘導細胞数は最大となり、12時間経つと完全に消失した。すなわち、床敷刺激により鋤鼻神経細胞において一過性のc-Fos発現が誘導されることが示された。次に、BALB/c成熟オスの床敷に対するBALB/cオス・メスの鋤鼻神経細胞の応答を調べた。2週令・3週令のメスでは1切片につき平均2-4個のc-Fos発現誘導細胞が見られた。思春期の4週令・成熟した10週令になると発現は大幅に増加し、1切片あたり平均8-9個のc-Fosが発現した。オスでは、思春期前の2週令・3週令ではメスと同様に1切片あたり2-4個のc-Fos発現誘導細胞が見られたが、4週令以降は全く発現誘導されなかった。すなわち、4週令以降に性特異的な応答が起きていることが示唆された。BALB/c 3週令オスの床敷刺激をBALB/c 10週令メスに対して行ったところ、そのc-Fos発現数は成熟オスの床敷刺激と比較して有意に少なかった。BALB/c 10週令メスを、他系統のC57L/6とICR成熟オスの床敷に曝すと、どちらの床敷に対してもBALB/c成熟オスのものと同程度のc-Fosの発現が引き起こされた。これらの結果偉、BALB/cメスの鋤鼻神経細胞におけるc-Fosの発現誘導は、系統によらず、成熟オスの床敷によって引き起こされることを示している。
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Research Products
(1 results)