2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの不揮発性フェロモン物質の構造決定と受容体の同定
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16688005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 和成 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (00280925)
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Keywords | フェロモン / マウス / 鋤鼻器官 / 受容体 / 遺伝子発現誘導 |
Research Abstract |
哺乳類のなかでもネズミやマウスなど齧歯類では、フェロモン物質が、性差や異種の識別、異性生殖機能の状態の識別、性周期・成熟度・性行動のタイミング、攻撃行動などを制御していることが知られている。前年度までに、外分泌腺由来のペプチドが鋤鼻器官を刺激することを見出した。本年度は、メスマウスをそれらのペプチドに曝すと、Gタンパク質Gαoとフェロモン受容体候補遺伝子V2Rを発現する基底層側の鋤鼻上皮の鋤鼻神経においてc-Fos発現誘導が見られることを見出した。また、嗅細胞と同様に、個々の鋤鼻神経には、約61種類あるV2Rのうちひとつだけが発現している。つまり、ペプチドがV2Rによって認識されているとすれば、c-Fos発現細胞には、ある特定のV2Rが発現していることが予想される。そこで、c-Fosの免疫染色とV2Rのin situ hybridizationとのダブル染色をすることにより、c-Fos発現細胞に発現しているV2Rの同定を試みた。まず、ゲノムデータベースから全長V2Rをコードしていると予測される44個のV2Rを抽出し、相同性にもとづいて、20個のPCRプライマーセットをデザインした。鋤鼻上皮由来のRNAサンプルを用いて、20ペアのRT-PCRを行ったところ、12ペアにおいて遺伝子の増幅がみられた。そこで、この12個のV2RタイプのcRNAをプローブとして用いて、c-Fosとの二重染色を行ったところ、一種類のV2R(V2Rpと命名)と完全に重なった。V2Rpプローブは、ゲノム上の相同性の高い6種類のV2Rを認識していると考えられるため、それぞれを特異的に区別するプローブを再設計し、二重染色を行ったところ、ひとつのV2R(V2Rp5と命名)と完全に重なった。すなわち、ペプチドによって刺激されてc-Fosの発現誘導が引き起こされる鋤鼻神経には、V2Rp5のみが発現していることから、V2Rp5が標的の受容体と考えられる。次に、V2Rp5の全長cDNAの決定を行ったところ、6個のexonと5個のintronからなる全長約17kbであることがわかり、さらに、alternative splicingがおきて5種類のmRNAができていることがわかった。
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Research Products
(3 results)