2004 Fiscal Year Annual Research Report
YAC-TgMを用いたエンハンサーとプロモーター相互作用における距離感受性の解析
Project/Area Number |
16688010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷本 啓司 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (90261776)
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Keywords | 遺伝子スイッチング / β-グロビン / 酵母人工染色体 / トランスジェニック・マウス |
Research Abstract |
ヒト・β-グロビン遺伝子座は4種類のβ様グロビン遺伝子(ε,Gγ,Aγ,β)で構成され、これらの遺伝子は細胞・発生時期特異的に発現する。我々は、胚時期特異的に発現するε遺伝子の成体期発現抑制機構に、プロモーター領域のDR1(direct repeat 1)配列とその結合タンパク質DRED (direct repeat erythroid-definitive)が関与するというモデルを提唱した。更に最近、成体期に同様に発現が抑制されるγ遺伝子にもDR1配列が存在し、DREDが結合することを明らかにした。一方で、γ遺伝子の発現抑制にはプロモーター領域のCCTTG配列が関与するというモデルも提唱されている。そこで本研究ではDR1配列とCCTTG配列のどちらがγ遺伝子の成体期特異的発現抑制に関与しているのかを明らかにする事を目的とした。我々はヒト・β-グロビン遺伝子座を含む酵母人工染色体上のAγ遺伝子のDR1配列に点変異を導入し、遺伝子導入マウス(TgM)を作製した。DR1配列とCCTTG配列はそれらの一部が重複しているが、CCTTG配列を破壊しない位置に変異を導入し、DR1配列のみを破壊した。変異型DR1 TgMについて各発生段階におけるAγ遺伝子の発現量を半定量的RT-PCR法を用いて解析した結果、胚期ではAγ遺伝子の発現量は野生型TgMと違いが見られなかったのに対し、成体期では顕著な発現量の増加が認められた。従って、DREDはヒト・ε遺伝子のみならずγ遺伝子の成体期特異的発現抑制にも関与していることが強く示唆された。
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Research Products
(2 results)