2005 Fiscal Year Annual Research Report
光解除性保護基の論理的設計に基づく、新有機合成ツール、新生物機能解析ツールの創製
Project/Area Number |
16689002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (20292956)
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Keywords | 光解除性保護基 / 光誘起電子移動 / Caged化合物 / ニトロベンジル基 / TokyoGreen / 電荷分離状態 / フルオレセイン / 論理的設計 |
Research Abstract |
本研究は、申請者がこれまでに確立してきた蛍光プローブ設計法である光誘起電子移動(PeT)過程に基づき、長波長光で機能するなど様々な特長を有する光分解性保護基を論理的に設計することを目的とするものである。昨年度までの研究から、励起蛍光団が電子供与体として働くd-PeT過程が可視光蛍光団でも起こりうることが見出されたため、強い電子吸引性を持つニトロベンジル基を保護基とし、450nmを越える可視光照射でその光解除が可能なCaged蛍光色素の開発を行った。その結果、種々のニトロベンジル基の中でも3,5-ジニトロベンジル基が最も良い効率でUncaging反応を引き起こすことが明らかとなった。これは強い電子吸引性に由来する高効率のPeTが起こるためと推測され、申請者の設計作業仮説が十分に機能しうることを強く支持するものである。次に真に有用かつ実用的なCaged蛍光色素とするべく、Uncage前の蛍光量子収率を出来るだけ低下させることを狙った分子改良を行った。具体的にはTokyoGreen骨格のベンゼン環部位にメトキシ基を導入し、Uncage前の蛍光団へはa-PeTが起きるようにすることで蛍光量子収率をほぼ0とし、かつUncage後はフルオレセインと同等の強い蛍光を示すように的確に分子修飾を施した。その結果、Uncage効率には大きな変化を及ぼすことなく、蛍光強度の上昇度が50倍以上と極めて大きいCaged蛍光色素の開発に成功した。このような長波長光で機能するCaged色素は世界で初めての例であり、かつ1ステップUncaging反応で最大の蛍光強度変化を誘起可能であることから、今後様々な生物系での応用が十分期待される。
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Research Products
(6 results)