2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の経胎盤胎児移行における薬物輸送担体の機能的役割に関する研究
Project/Area Number |
16689013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大谷 壽一 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (70262029)
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Keywords | 胎盤 / 胎児移行 / 胎児毒性 / 血液胎盤関門 / 薬物輸送担体 / トロホブラスト細胞 |
Research Abstract |
本研究では、胎盤における薬物輸送担体の発現並びに機能の解析を行い、それらの薬物の経胎盤移行における役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、カチオン性薬物の輸送を担うocganic cation transporters(OCTs)のサブファミリーの胎盤における発現を確認した。そして、唯一胎盤に発現しているOCT3をクローニングし、HEK細胞に導入し安定発現系を構築し、その機能特性を検討した。HEK-OCT3細胞は、MPP^+)をNa^+非依存的に取り込み、その基質親和定数(Kt値)は約70μMであった。また、アニオン性物質や両性イオンでは阻害されず、quinineやquinidine, cimetidineやimipramineなど、多くのカチオン性薬物により濃度依存的に阻害された。さらに、ヒト胎盤より調製したトロホブラスト細胞基底膜小胞におけるMPP+の取り込み特性についても検討を行い、HEK-OCT3発現系における特性と同様の特性を認めた。したがって、胎盤におけるカチオン性物質の輸送にはOCT3が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、他の輸送担体として、やはり胎盤に発現しているBCRP(breast cancer resistance protein)について、その機能を検討し、ヒト胎盤より調製したトロホブラスト細胞頂側膜小胞における輸送特性と比較することで、血液胎盤関門における機能的寄与を明らかにした。有機アニオン輸送担体についても、OAT4のクローニング及び機能解析に着手している。さらに、胎盤からトロホブラスト細胞を単離精製する方法を確立し、現在その初代培養条件について検討を行っている。
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