2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA型および血液型の超高感度検出法の開発:とくに微量体液斑からの型判定
Project/Area Number |
16689015
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹下 治男 島根大学, 医学部, 教授 (90292599)
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Keywords | DNA型 / 血液型 / DAFO / DNase I / 尿 / 尿斑 / 超高感度検出法 / 微量体液斑 |
Research Abstract |
法医鑑識科学の研究分野において、DNA型および血液型の超高感度検出法のひとつとしてDAFO(dried agarose film overlay)法がある。DAFO法はゲル電気泳動後の活性染色法として優れているのみならず、核酸分解酵素(DNase I)に対する内在的阻害タンパク質の多型解析に関してもDAFO変法によって良好な結果が得られることが分かっている。DAFO法による活性染色法は多くの利点を有しているので、本年度はこの方法を利用して、尿斑からのDNase I型判定法の確立をめざした。 DNase I型はその表現型分布に偏りが少ないこと、高感度な型判定法が確立していること及び経時的変化に抵抗性を有することなどから、法医鑑識科学において極めて有用な遺伝マーカーである。DNase Iは尿中に極めて高濃度で存在し、微量な尿からDNase I型の判定が可能であることが証明されている。精液、唾液および汗などの体液斑痕からのDNase I型判定には前処理が必要であったが、尿斑からの粗抽出液では前処理することなく型特異的なアイソザイムパターンが得られた。尿斑の場合には、その粗抽出液を直接等電点電気泳動で分離後、DAFO活性染色することによって再現性の高いDNase Iアイソザイムパターンが観察され、容易に型判定できた。本法を利用したところ、約6ヶ月以上室温に放置された0.4〜0.8cm^2大の微小な尿斑からでも再現性良く型判定できた。なお、尿斑から判定したDNase I型は同一人より採取した尿及び血清からの型判定結果と一致していた。さらに、尿が付着している布地の相違が型判定に影響しないことも確認した。尿斑からのDNA試料は分解されていることが多く、DNA多型検査が困難であり、今回確立したDNase I型判定法は尿斑からの個人識別に極めて有用であると考えられた。
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Research Products
(6 results)