2004 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子MafAを指標に膵島β細胞の血糖感知システムの実体にせまる
Project/Area Number |
16689019
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 浩介 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20262074)
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Keywords | 転写制御因子 / 遺伝子発現 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
膵島β細胞に特異的に発現するインスリン遺伝子の転写はグルコース(血糖値)に応答して上昇するが、膵島β細胞がグルコースの濃度を感知するメカニズムはあきらかになっていない。本研究課題においては、膵島β細胞特異的転写制御因子MafAの活性が血中グルコース濃度に応じて変化するメカニズムを生化学的に解析することにより、膵島β細胞の血糖感知システムの実体が何であるのかをあきらかにすることを目的としている。より具体的には、膵島β細胞がグルコース刺激を受けたときにおこるMafAタンパク質のリン酸化などのmodificationを指標にして、グルコース刺激シグナル伝達経路に関わる因子をすべて同定したいと考えている。 本年度は、β細胞由来の細胞株を用いて、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動上の移動度の違いを指標にして、MafAタンパク質がリン酸化を受けると考えられるアミノ酸残基を8ヶ所推定した。さらに、リン酸化型MafAダンパク質を精製し、プロテアーゼ消化後に生じるペプチドを質量分析することによってリン酸化アミノ酸部位を確実に特定することを試みている。また、各種のリン酸化酵素(キナーゼ)の特異的阻害剤を用いることによって、MafAをリン酸化するキナーゼの特定を試みたところ、8カ所のうち4カ所のセリン/スレオニン残基をリン酸化するキナーゼを1種類特定できた。また、リン酸化部位の周辺配列からキナーゼを予想することにより、残りの2カ所のセリン残基をリン酸化する別のキナーゼを特定できた。したがって、グルコース濃度によるこれらのキナーゼの活性の変化を追跡することにより、グルコースによるシグナル伝達経路を今後あきらかにしていくことができる。
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