2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素中性子捕捉療法における吸収線量制御の高度化に関する研究
Project/Area Number |
16689022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 正純 東京大学, 原子力総合研究センター, 助手 (80314772)
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Keywords | 熱中性子検出器 / SOF検出器 / 中性子捕捉両方 / 吸収線量評価 / リアルタイムモニタ |
Research Abstract |
本研究は、ホウ素中性子捕捉療法のためのリアルタイム熱中性子束評価を目的として開発されたSOF検出器を改良することを目的としている。今年度は、光ファイバの共有化および新規シンチレータ材料の適用を試みた。 SOF検出器では、熱中性子増感剤を含む系統と含まない系統を同時に用いることによってγ線の影響を補償し、その精度を確立しているが、光ファィバを2本重ねる必要があるために、断面がメガネ型や楕円形状となってしまい、特定方向への柔軟性が失われる欠点があった。そのため、治療時にSOF検出器を患者にセッティングする際の障害となっていた。そこで、熱中性子増感剤を含むシンチレータと含まないシンチレータの発光波長を変えることにより、光ファイバの共有化を試みた。490nmに発光波長ピークを持つシンチレータ(BCF-20)と420nmに発光波長ピークを持つシンチレータ(BC490)を接続し、混合光をシグマ光機社製のダイクロック・フィルタ(DIF-50S-BLE)を用いて分離を試みたところ、それぞれの発光量の約80%を分離して測定することができた。 また、これまでは有機シンチレータに熱中性子増感剤を混入したものを用いていたが、熱中性子増感剤そのものを母剤として含む無機シンチレータや、無機シンチレータへ熱中性子増感剤を混入したもののSOF検出器への適用も試みた。無機シンチレータは、一般的に融点が高い(1500℃以上)ため、約2000℃までの局所的な高温状態が得られる赤外線放射加熱器を導入し、熱中性子増感剤の導入および光ファイバ先端へ接続するのに適した形状への加工を試みた。最初の例としてY^<10>BO_3:Ceシンチレータを組み合わせて熱中性子の検出を試みた結果、感度良く熱中性子を検出できることを確認した。
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