2004 Fiscal Year Annual Research Report
虚血心筋に対する血小板由来内皮細胞成長因子を用いた遺伝子治療の遠隔期効果の検討
Project/Area Number |
16689023
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
李 偉 福井大学, 医学部, 助手 (80362044)
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Keywords | 血小板由来内皮細胞成長因子 / 慢性虚血心筋 / 遺伝子治療 / 血管新生 |
Research Abstract |
目的:我々はヒトの血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)のcDNAを犬の慢性虚血心筋に直接注入することにより血管新生の促進、心筋梗塞サイズの減少、心機能の改善と共に、心筋細胞のアポトーシスの抑制等の成果を確認した。今回、PD-ECGF遺伝子を用いた血管新生療法の遠隔期における安全性を検討することを目的として本研究を計画した。 方法:24匹のビーグル犬を用いた。Ameroid constrictorを用いて犬の左前下降枝(LAD)領域に慢性虚血心筋モデル作成した。2週間後、5mgのpCIhTP(PD-ECGF治療群n=8)、5mgのpCILacZ(LacZ対照群、n=8)、および生食(Sham群、n=8)2mlをLAD領域に27Gの注射針を用いて6カ所注入した。モデル作成前、遺伝子注入前(モデル作成2週間後)、遺伝子注入2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後および6ヶ月後に心エコーにより心機能および心室壁運動を評価し、更に、コントラスト心エコーにより局所心筋血流量を評価した。また、実験終了時、肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓から無作為的に組織を採集して、組織学検討を行った。 結果:慢性虚血心筋モデル作成2週間後、3群間の心機能(EF%)には差を認めなかった。治療後2週間から、対照群(pCILacZ群およびSham群)と比べて、PD-ECGF治療群の心機能が有意に改善され、実験終了時(6ヶ月)でも有意差を持って良好であった。LAD領域の心筋血流量をVolumap-445を用いて分析したところ、PD-ECGF遺伝子治療群では有意に増加しているのが確認された。治療群においては、心筋梗塞範囲が有意に縮小し、慢性虚血による心筋リモデリングも有意に抑制された。また肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、いずれの臓器においても組織学異常を認めなかった。また実験終了時PD-ECGF遺伝子およびその蛋白質は心臓および他の臓器から検出されなかった。 結論:PD-ECGF遺伝子を用いた虚血心筋に対する治療の有効性と安全性が確認された。
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Research Products
(1 results)