2005 Fiscal Year Annual Research Report
L1CAM遺伝子異常を持つヒト神経幹細胞の特性解析と先天性水頭症の分子治療法開発
Project/Area Number |
16689025
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(大阪医療センター臨床研究部) |
Principal Investigator |
金村 米博 独立行政法人国立病院機構(大阪医療センター臨床研究部), 政策医療基盤技術開発研究室, 室員 (80344175)
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Keywords | L1CAM / 神経幹細胞 / 分泌因子 / コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / 細胞凝集塊 / 増殖能 |
Research Abstract |
1.L1CAM遺伝子異常を有するヒト神経幹細胞(XLH-hNSPC)の生物学的特性解析 XLH-hNSPCは正常hNSPCより増殖能が高い。そのメカニズム解明のためXLH-hNSPCの培養上清中に含まれる液性因子がhNSPC凝集塊形成とhNSPC増殖へ及ぼす影響を検討した。 (1)解析方法 Neurosphere法で培養したXLH-hNSPCおよび正常hNSPC(2ロット)の培養上清をそれぞれ回収して各細胞に添加し、hNSPCの細胞凝集塊形成に及ぼす影響を評価した。さらに総ATP計測法を用いてhNSPC増殖能に及ぼす作用を評価した。またマイクロコン遠心式フィルターユニット(ミリポア社)を用いて培養上清を分子量により分画し、各分画のhNSPC増殖に対する効果を検討した。XLH-hNSPCで発現する細胞膜貫通部分を有さない異常L1CAMタンパク質を作製し、hNSPC増殖に対する作用を検討した。 (2)結果 XLH-hNSPC由来培養上清は、正常hNSPCの細胞凝集塊形成を促進させる効果を持つことが示唆された。さらに正常hNSPC増殖促進作用を有し、其の作用は分子量50-100KDaの因子を多く含む分画で強いことが判明した。XLH-hNSPC由来異常L1CAMタンパク質は正常hNSPCの細胞増殖促進効果を有さないことが判明した。 (3)考察、今後の方針 XLH-hNSPCの培養上清中に、正常hNSPCの凝集塊形成と細胞増殖を促進させる因子の存在が示唆されたが、それはXLH-hNSPC由来異常L1CAMタンパク質ではないと考えられる。前年のマイクロアレー解析結果は、細胞接着因子に加えコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現がXLH-hNSPCと正常hNSPCでは異なることを示唆している。今後、培養上清中のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現量とhNSPCの凝集塊形成、細胞増殖との関連性を検討する予定である。 2.L1CAM遺伝子異常を有するMASA症候群の1家系を同定し、その症例報告を行なった。
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