2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性黒色腫でのシグナル・遺伝子治療としてのphosphodiesterase
Project/Area Number |
16689030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
成田 素 三重大学, 医学部, 助手 (70362340)
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Keywords | 悪性黒色腫細胞 / phosphodiesterase 4 / Epac |
Research Abstract |
Posphodiesterase(PDE)は細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMPなどを分解する酵素である.cAMPはadenylate cyclase(AC)とPDEにより細胞内濃度が調節されており多彩な生理作用に関与している.同様にPDEもまた様々な作用に関与していると考えられる.しかし、悪性腫瘍細胞でPDEと増殖についてはほとんど検討されていない.そこで,ヒト歯肉由来悪性黒色腫細胞(HMG)でPDE4について検討した. HMGでPDE4活性を認め,現在4種類知られているPDE4アイソザイムのmRNAの発現をRT-PCRで確認したところ,PDE4BとPDE4D mRNAの発現が認められたがPDE4AとPDE4C mRNAの発現は認められなかった.PDE4特異的阻害剤(rolipram, RO-20-1724)およびAC stimulator (forskolin)を作用させると,約2倍に増殖が促進された.また,これらによって細胞内cAMP濃度も上昇していた.cAMPシグナルの下流にはPKAやEpacなどの存在が知られている.しかし,PKA特異的阻害剤(KT5740、PKIなど)では、rolipram等による細胞増殖を抑制できなかった.一方、Epacに選択的なcAMP誘導体(8-pCPT-2'-O-Me-cAMP)でrolipramなどと同様に細胞増殖が促進された。以上よりPDE4特異的阻害剤による細胞増殖はcAMP-Epacのシグナルが関与していることが示唆された.特異的阻害剤は全てのPDE4を阻害するしてしまうため,どのPDE4アイソザイムが関与しているのか特定は困難である.そこでPDE4BとPDE4Dを単独に阻害するため,siRNAを作成し導入条件など検討した.上記研究結果の検討を行い,さらに研究を進めている.
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