2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性黒色腫でのシグナル・遺伝子治療としてのphosphodiesterase
Project/Area Number |
16689030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
成田 素 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70362340)
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Keywords | 悪性黒色腫細胞 / phosphodiesterase 4 |
Research Abstract |
Phosphodiesterase(PDE)は細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMPなどを分解する酵素である.cAMPはadenylate cyclaseとPDEにより細胞内濃度が調節されており多彩な生理作用に関与している.同様にPDEもまた様々な作用に関与していると考えられる.しかし,悪性腫瘍細胞でPDEと増殖についてはほとんど検討きれていない.そこで,ヒト歯肉由来悪性黒色腫細胞(HMG)でPDE4について検討した. 昨年度の研究で,PDE4特異的阻害剤(rolipram,RO-20-1724)がHMGの細胞増殖を促進することを見いだしたが,特異的阻害剤は全てのPDE4アイソザイムを阻害してしまうため,どのアイソザイムが関与しているのか特定は困難であった.そのためRT-PCRで発現の認められたPDE4BとPDE4Dを単独に阻害するため,siRNAを作成し導入条件など検討した.Human melanoma cellにsiRNAを導入した報告はほとんどないため,はじめに市販されているsiRNA導入剤(5製品)の毒性試験を行った.それぞれ各製品のプロトコールに沿って導入剤の濃度を決定しHMGに作用させた.2製品は非常に強い毒性がみられたため使用不可であった.他製品は毒性はわずかであった.これらの導入剤を用いてコントロールとなるMAPK1 siRNAを作用させ,realtime-PCRでMAPK1 mRNAの抑制率を求めた.2製品ではほとんど効果が見られず,1製品のみで約70%の抑制効果が見られた.そこでこの製品を用いてPDE4BおよびPDE4D siRNAをHMGに導入したところ,PDE4B siRNAではcontrolに比べ有意に細胞増殖が促進された.一方,PDE4D siRNAでは逆に増殖が抑制された.これらの結果によりPDE4阻害による増殖促進はPDE4Bが関与することが示唆された.上記研究結果の検討を行い,さらに研究を進めている.
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