2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性黒色腫でのシグナル・遺伝子治療としてのphosphodiesterase
Project/Area Number |
16689030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
成田 素 三重大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70362340)
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Keywords | 悪性黒色腫細胞 / phosphodiesterase 4 |
Research Abstract |
Posphodiesterase(PDE)は細胞内のセカンドメッセンジャーであるcAMPなどを分解する酵素でadenylate cyclase(AC)とPDEにより調節されており,多彩な生理作用に関与している.しかし、悪性腫瘍細胞でPDEと増殖についてはほとんど検討されていない.そこで,ヒト歯肉由来悪性黒色腫細胞(HMG)でPDE4について検討した. 昨年度までの研究で,HMG細胞ではPDE4BとPDE4Dのアイソザイムが発現し,構造の類似した2種類のPDE4特異的阻害剤(rolipram, RO-20-1724)が増殖を促進すること,更にsiRNAでPDE4Bを約70%阻害すると細胞が増殖することを見い出した.本年度は,完全に構造の異なるPDE4特異的阻害剤(Denbufylline, phosphodiesterase 4 inhibitor)でも増殖が促進することを確認し,新しいsiRNAでの同様の結果を認め,PDE4B遺伝子がHMG細胞の増殖に関与することを確認した.そこで,HMG細胞よりPDE4BをRT-PCRで増幅後,TAクローニングにてプラスミドに導入し,シークエンスを行ったが,特に遺伝子異常は検出できなかった.次に遺伝子導入とリコンビナントタンパク合成のためのプラスミドに組み換えた.またHMG細胞をヌードマウスに移植しRO-20-1724を腹腔内に投与したところPDE4特異的阻害剤を投与した群ではコントロール群(溶媒:エタノール)に比べ,腫瘍の増大が促進される傾向を示した.以上よりHMG細胞でPDE4Bが増殖に関与していることが確定した.今後,臨床応用を目指して研究を進めていく予定である.
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