2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリン(Tf)レセプター遺伝子導入とTf結合リポソーム併用の抗腫瘍効果
Project/Area Number |
16689031
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中瀬 実 三重大学, 医学部, 助手 (40283527)
|
Keywords | トランスフェリンレセプター / リポソーム / トランスフェリン / 遺伝子治療 / 骨肉腫 / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
今年度はトランスフェリンレセプター(TfR)遺伝子導入とTf結合Liposome併用による抗腫瘍効果についてin vitroでの実験を行った.当講座で保有しているcell line(骨肉腫,悪性黒色腫,扁平上皮癌)のTfR発現状態をウエスタンブロットで比較した.TfR遺伝子挿入プラスミド(TfR -plasmid)はInvitrogen社より購入した.TfR-plasmidを大腸菌にトランスフォームし,培養,TfR-plasmidを大量に精製した.Cationic LiposomeとTfR-plasmidをいくつかの比率で複合体を形成,TfR発現が比較的低かった細胞(悪性黒色腫,骨肉腫)に作用,ウエスタンブロットによりTfR発現の変化を観察した.TfR-plasmidの至適投与量は細胞1×10^4当たり0.2μgであった.次いで,TfR発現後に,Tf結合Liposomeによる遺伝子導入効率が向上するか検討した.TfR導入24時間後,細胞にTf-Liposome-β-galactosidaseを作用させ,さらに48時間後,X-Gal染色,β-galactosidase活性の測定を行った.X-Gal陽性細胞はTfR非導入群で悪性黒色腫17.5%,骨肉腫31.0%からTfR導入群でそれぞれ24.0%,34.0%へと増加していた.β-galactosidase活性については,TfR導入により悪性黒色腫で60.8%,骨肉腫で70.2%上昇していた.続いて,TfR導入した細胞にTf-Liposomeをキャリアーとするp53遺伝子治療を行い,増殖抑制効果について評価した.TfR導入24時間後,細胞にTf-Liposome-p53を作用させ,さらに48時間後,MTT assayにて生細胞率を算出した.悪性黒色腫で,生細胞率はTfR非導入群79.3%から導入群46.4%,同様に骨肉腫で42.6%から29.9%へとそれぞれ低下していた.すなわち,TfR導入によりTf-Liposome-p53の殺細胞効果が増強していた.
|