2004 Fiscal Year Annual Research Report
グレーデッドインデックス型光ポリマーを応用した、金属非可視型矯正ワイヤーの開発
Project/Area Number |
16689033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊泉 裕 北海道大学, 病院, 助手 (70359488)
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Keywords | 歯学 / 複合材料・物性 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究は、優れた審美性と必要な機械的性質を兼ね備えた歯科矯正用ワイヤーを開発することを目的とし、複合材料の概念に光学材料の技術を取り入れることでそれを実現しようとするものである。本年度に行った内容を以下に示す。 (1)第一層マトリックス(クラッド)材とコアメタルとの接着について:フッ素樹脂の多くは金属への接着強さは低いため、ワイヤーの中心部から第一層目のマトリックス材としては金属への反応性基をもつ「ネオフロンEFEP」を160〜180℃にてラミネート圧着することが有効であることがわかった。しかしながら、熱融着に関しては枠型となるPEチューブの変形の問題があり、コア隣接層の寸法安定性の確立は今後の課題である。 (2)第二層マトリックス材について:マトリックス最外層(第三層)に使用する低屈折率のフッ素樹脂「サイトップ」の屈折率(n_D:1.34)に対して、第二層には期待する光学的特性(グレーデッドインデックス)上から、より高い屈折率の材料を使用する必要があるため芳香族系または脂肪族系ジメタクリレートなどの架橋高分子材の適用を検討した。これらの樹脂に無機フィラーを混和することにより屈折や散乱を調整できることが示唆された。 (3)マトリックス材の機械的強度について:フッ素樹脂としては「サイトップ」、ジメタクリレートとしてはBis-GMAを材料として引張圧縮試験器(今年度設置備品)により曲げ強さを評価した。試験片は各材料を直径約0.5mmの棒材としたもので、支点間距離14.0mm、たわみ量2.0mmの条件での曲げ荷重・曲げ弾性率は、フッ素樹脂では0.44N・2747.21Mpa、Bis-GMAでは0.57N・3262.64Mpaと算出された。 (4)第三層クラッドへの入射光がワイヤー内部において全反射する条件の検索、これを分光光度計等により行うことが目下の課題である。
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