2006 Fiscal Year Annual Research Report
グレーデッドインデックス型光ポリマーを応用した、金属非可視型矯正ワイヤーの開発
Project/Area Number |
16689033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊泉 裕 北海道大学, 病院, 助手 (70359488)
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Keywords | 歯学 / 複合材料・物性 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究は、優れた審美性と機械的性質を兼ね備えた歯科矯正用ワイヤーを開発することを目的とし、複合材料の概念に光学材料の技術を取り入れることで、それを実現しようとするものである。 本年度に行った内容を以下に示す。 1.ワイヤー内部の金属の非可視化に及ぼす条件の模索を行った。ワイヤー表面において外界からの入射光を効果的に反射させるためにはフッ素樹脂マトリックス基材の屈折率を段階的に変化させるか、屈折率の異なる物質を配向させる必要があるが、入射光の反射、散乱といった現象には前述の要件の他にコーティング層の膜厚というパラメーターの影響も受けるため、コア金属へのマトリックス材のコーティング方法および膜厚についての検討をスピンコート、ディップコートの2種の方法について行った。 (1)フッ素樹脂の粘度はスピンコート用で5(%)濃度において約10^2(mPa・s)(タイプX)、ディップコート用8(%)濃度において約10^2(mPa・s)で、対数的に濃度と粘度の関係が正の比例関係を示していることから、膜厚のコントロールには樹脂溶液の濃度調節が有用であると考えた。 (2)計測値の代表例として、スピン(ロール)コーターを用いた場合のフッ素樹脂の形成膜厚は回転数100において約10(μm)で、ディップコートの場合は引き上げ速一度5(cm/min)において約100(μm)(溶液濃度2%)であった。一連の実験結果から、金属コアに対するマトリックス材の被覆膜厚は、任意に設定可能であることがわかった。 2.ワイヤー内部の金属の非可視化の程度およびワイヤー全体としての光学的特性を評価するため、実験モデルとして屈折率1.34のフッ素樹脂(サイトップ)と屈折率1.49のポリマー(PMMA)を積層配置させ、各層の厚さを任意に設定したものを用いた。結果、金属色の透過を抑える条件設定の構築には至らず、現段階では内部金属コアの非可視化は遺憾ながら達成できなかった。これは、矯正用ワイヤーとして使用するサイズ(直径0.5mm程度)が物理的に小さいことが根本的要因として影響していると考えられた。 次年度以降は、研究費補助の対象ではないが本研究の進展のために今後も実験を継続する予定である。
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