2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロダイセクション法によるセメント質・歯根膜に特異的な遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
16689034
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
近藤 尚知 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70343150)
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Keywords | レーザーキャプチャー / 歯根膜 / セメント質 / マイクロアレイ / 凍結切片 |
Research Abstract |
本研究においては、レーザーキャプチャー顕微鏡を用いたマイクロダイセクションシステムを用いて、組織切片から歯根膜、セメント質それぞれ単一の標的細胞集団のみを正確に採取して、RNAを抽出する。そして、その正確に分離・採取された各細胞集団から得られたRNAを比較解析し、各組織に特異的なマーカーを同定することが最終目標である。現在までの検討で、脱灰パラフィン包埋切片では、その処理過程においてRNAの崩壊が激しくマイクロアレイなどの遺伝子配列の検索には適していないことが明らかになった。骨と歯牙を含む組織の非脱灰凍結切片の作成は、困難極まるものであったが、申請者らは、特殊なタングステンナイフとクライオフィルムおよびUV照射を併用することによりレーザーキャプチャーマイクロダイセクションが可能な非脱灰凍結切片を作成することに成功した。その過程においては、フィルムの種類また、接着剤とそれぞれの試薬の処理時間の検討に多くの時間がかかった。そしてそれらの組織から抽出したRNAは28Sおよび18Sのピークが明確で、さらに、そのサンプルを用いたRT-PCR解析においても明瞭なオステオカルシン、コラーゲン、GAPDHなどのバンドが確認され、RNAのクウォリティの高さを示唆する結果が得られた。上記の検討により、セメント質および歯根膜組織から遺伝子配列の解析が可能なRNA抽出法が確立され、各組織に特異的なマーカーの検索と機能解析の準備が全て整った。しかしながら、マイクロアレイ解析のためには、RNAの収量が不足していることが判明し、凍結切片とレーザーキャプチャーの作業にさらなる時間を費やした。LCMにより抽出されたRNAを増幅キットを用いて増加させ、そのRNAの質と量の検定を行った結果、増幅されたRNAのクウォリティは万全ではなかったが、39000個の遺伝子比較解析の結果、約2000個に遺伝子発現の差を認めた。現在、In-situ Hybridization法による、遺伝子発現の差異の確認作業を遂行中である。
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Research Products
(2 results)