Research Abstract |
平面グラフの正規分割,リアライザ,Schnyderラベル付けおよび順序全域木という4つの概念は,平面グラフの直線描画や凸描画で重要な役割を果たしている.平面グラフGが3連結であることは,Gにそれらが存在するための十分条件であることは知られていたが,必要十分条件は知られていなかった.本研究ではそれらが存在するための必要十分条件を与えるとともに,正規分割,リアライザ,Schnyderラベル付け,順序全域木,外三角格子凸描画の5つの概念が実は互いに同値であることを示した.更に,それらが存在するための必要十分条件をGが満足するならば,Gの正規分割,リアライザ,Schnyderラベル付け,順序全域木,および外三角格子凸描画は線形時間で求まることを示した.外面が三角形であるような格子凸描画を持つための必要十分条件を与えたことにより,描画できるグラフのクラスを完全に特定できることになるので,理論的に極めて重要な結果と言える.以上の成果を国際学会において発表すると共に,学術雑誌に投稿し,採択された. 更に凸描画以外の描画法についても研究を行った. 平面グラフGの描画で,各辺を取り囲む軸平行な長方形内にグラフの点が存在しないものをGの矩形勢力描画と呼ぶ.本研究では,従来知られていた4連結平面グラフの格子凸描画アルゴリズムの出力が,実は矩形勢力描画でもあることを示した.このアルゴリズムにより求まる描画の面積は,従来の手法によるものと比べて4分の1以下であり,実用上極めて有用である.この成果を国際学会において発表した. 平面グラフGの描画で,各辺が水平線分あるいは垂直線分で描画され,各内面が長方形であるものをGの内部矩形描画と呼ぶ.本研究では,Gが内部矩形描画を持つための必要十分条件を与えると共に,Gの内部矩形描画を求める多項式時間アルゴリズムを与えた.この成果を国際学会において発表すると共に,学術雑誌に投稿した.
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