2005 Fiscal Year Annual Research Report
安全性と効率性を両立した木構造鍵管理方式に関する研究
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16700014
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
楫 勇一 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (70263431)
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Keywords | 暗号放送 / 暗号鍵管理 / 一方向性置換 / 木構造鍵管理方式 / 時限鍵 / デジタル放送 / 個人情報保護 |
Research Abstract |
デジタル放送やインターネットマルチキャスト等の基盤技術を利用して,デジタルコンテンツを配布するサービスが実現されつつある.そのようなサービスを商業的に確立するためには,正当な対価を支払ったユーザのみがサービスを享受でき,そうでないユーザのサービス利用を排除するための仕組が必須であると考えられる。多数のユーザに対してコンテンツ等を安全に送信するためには,暗号放送が有効であると考えられる.本研究では,暗号放送における重要な基礎技術である,端末鍵(ユーザ鍵)の管理手法の開発を行った.平成16年度における研究では,木構造に基づいて端末鍵を決定する手法の検討を行った.また,そこから派生して,時間限定で利用可能な鍵の実現法に関する予備的な検討を行った.時間限定鍵は,特定の時間になると自動的に利用可能となり,特定の時間が過ぎると,自動的に利用できなくなるような暗号鍵である.時間限定鍵は,当初の研究計画には入っていなかった方向性の課題であるが,放送暗号だけでなく,たとえば個人情報の保護と廃棄といった広範で重要な応用範囲が期待される技術である.したがって,平成17年度の研究では,とくに時間限定鍵の実現法を重点的に検討した.その結果,(1)可換な一方向性関数の組を用いて情報の格子構造を構成し,時間鍵の相互導出を困難にする方法,(2)木構造の葉頂点と時間とを対応させ,時間鍵のマスター鍵を構成する方法の2方式を開発し,それぞれの方式が安全となる条件を示した.これらの研究成果をまとめた結果を,2件の国際会議発表として公表した.
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