2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模疎行列系連立一次方程式の数値解の高速な精度保証法に関する研究
Project/Area Number |
16700017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
荻田 武史 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (00339615)
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Keywords | 情報数理 / 数値数学 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである. (1)大規模連立一次方程式のための高速精度保証法の開発 (2)悪条件連立一次方程式の精度保証付き数値計算法 (3)実対称行列の各固有値に対する精度保証付き数値計算法 (1)に関して,大規模密行列を係数行列とする連立一次方程式を計算機上で解いた場合に得られる近似解と厳密解との定量的誤差評価について研究した.これにより,小規模な問題を扱っているときには見えなかった従来の精度保証方式の限界を明らかにすると共に,大規模な問題に適応した新しい精度保証方式を提案した.数値実験によって,分散並列計算で100CPUを用いて,密行列で3万次元という大規模な問題に対して提案方式を用いると近似解の計算時間の約3倍以内でその精度保証が可能であることを示した. (2)に関して,任意に条件数が大きい(問題を解くのが難しい)連立一次方程式のための精度保証付き数値計算について研究した.ここでは,Rumpによる条件数が大きい行列の近似逆行列を反復改良的に求める方式を実装し,その中で高精度な内積計算が非常に有効に作用することも示した.すなわち,連立一次方程式の問題の難しさを,内積を高精度に計算する問題に帰着できることを示した.さらに残差反復法と組み合わせることにより,ユーザが指定した精度を持つ数値解を計算することが可能となり,それを数値実験で確かめた. (3)に関して,実対称行列の各固有値に対する精度保証法について研究した.これは,Rumpの方法及びWilkinsonの方法を組み合わせたものである. Rumpの誤差評価定理によって固有値の存在範囲を特定し,そこからWilkinsonの誤差評価を用いることにより,計算量をほとんど増加させることなく,シャープな誤差限界を得ることができることを示し,さらにそれを数値実験によって確かめた.
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Research Products
(14 results)