Research Abstract |
ソフトウェアの再利用に基づいたソフトウェア開発では,再利用されるコードに着目した研究が数多く行われてきた.しかし,そもそもソフトウェアは「何か」を行うために開発する.この「何か」というのは要求仕様の中に記述されている.そこで,本研究では,要求に着目した再利用中心のソフトウェア開発環境の構築を目的とする. 平成16年度は,要求に着目した再利用中心のソフトウェア開発支援ツールのプロトタイプを開発した.プロトタイプでは,ユースケース,クラス図,コードなどの各種成果物の間に関係があることに着目した.開発者は,ユースケースを作成し,それをキーにして,再利用可能な成果物を検索する. 具体的には,まず,すでに開発済みのシステムのユースケース,クラス図,コードおよびそれらの間の関係を保持しているリポジトリを用意した.そして,開発者は初期ユースケースを作成する.ユースケースは,対象,方法,動作の三つのパラメータからなり,それらに値を与えることにより,ユースケースを作成する.初期ユースケースをキーにして,リポジトリから,開発中のシステムに有用と思われるユースケースを検索する.検索の結果,適切なユースケースがあった場合,それと関連のあるクラス図やコードをリポジトリから抽出する.その際,該当ユースケースと関連のある部分のみが抽出される.抽出されたクラス図とコードに対して必要な変更を行う.ユースケースごとに検索を行っているため,本来同じクラスが複数個存在するかもしれないので,それらを統合する.最後に,各種成果物をリポジトリに保存するが,一連の操作の記録をとっているため,開発中のシステムの各種成果物間の関係も保存される.
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