Research Abstract |
本年度は,本研究に関連する既存技術の調査・分析と,パーソナルピアネットワーク(PPN)の基本アーキテクチャの確立,およびPPNを構築するためのネットワークミドルウェアの試作を行った.具体的には,以下の(A)〜(C)のサブテーマに関する研究開発を推進した. (A)既存関連技術の調査・分析 関連技術として,ピアツーピア(P2P)技術,仮想プライベートネットワーク技術,暗号化技術,侵入検知手法の調査・分析を行った.その結果,既存関連技術では,アプリケーションレイヤマルチキャストにおける双方向化の検討や,固定的な認証サーバに拠らない認証法,すなわち,仮想ネットワークを構成するグループメンバのみでお互いのメンバを認証する仕組み等が不十分であり,各メンバのアクセスネットワークの性能を考慮しネットワーク資源を効果的に活用できるリレー経路の決定手法や,自律分散的なメンバ認証法などの確立が不可欠であることが明らかとなった. (B)パーソナルピアネットワークの基本アーキテクチャの確立 (A)の成果を基に,パーソナルピアネットワーク(PPN)の基本概念,基本モデル,および基本アーキテクチャの検討を行った.その結果,従来の論理ネットワーク層とアプリケーション層の間に,仮想ネットワークを構築するグループメンバの管理・認証などを行うソーシャルウェア層と,メンバ同士で自律分散型的に仮想ネットワークを構成するネットワークウェア層の2層を新たに追加した,4層からなるパーソナルピアネットワークの基本アーキテクチャを確立した. (C)パーソナルピアネットワークミドルウェアの設計と試作 (A),(B)の成果を基に,パーソナルピアネットワークミドルウェアの基本設計と詳細設計,およびプロトタイプの試作を行った.具体的には,グループメンバ間での相互認証法の検討と設計,およびアプリケーションレイヤ双方向マルチキャストの基本モデルの検討と設計を行った.加えて,提案ミドルウェアのエージェント指向設計と試作を行った.この成果は,国際会議等で発表した.
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