2004 Fiscal Year Annual Research Report
中規模実時間グループ通信のための分散型アプリケーション層マルチキャスト
Project/Area Number |
16700064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 弘純 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (80314409)
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Keywords | 実時間グループ通信 / アプリケーション層マルチキャスト / 分散処理 / プロトコル / インターネット |
Research Abstract |
本研究では,中規模実時間グループ通信向けの分散型アプリケーション層マルチキャストプロトコルの考案,設計及び性能評価実験を行う.さらに提案プロトコルに基づくミドルウェアを実装し,実証実験を行う.これにより,IPマルチキャストに依存しない中規模グループ通信環境の実現を目指す.本年度では特に,プロトコルの基本設計とシミュレーションによる性能評価実験を行った.まず,比較的相互遅延が小さいエンドホスト同士が自律的に接続して部分木を構成し,それぞれが属する部分木の情報(最大遅延や木の深さなど)を計算,交換しながら,最大遅延がなるべく小さいマルチキャスト木に徐々に収束するような自律分散型プロトコルを設計した.この際,全エンドホストの情報を互いに交換することは制御メッセージ量増大を招くため,最大遅延の計算を部分木ごとのボトムアップ方式で計算できるようにした.これにより,部分木に沿った単純なメッセージ送信でこれらの情報を計算,収集できるようにした.次に,エンドホストがマルチキャスト木から離脱した場合も,収集した情報を元に,なるべく最大遅延を抑制しながら分断された部分木間を再接続するアルゴリズムも同時に考案し,これも自律分散型プロトコルとして設計した.これにより,エンドホストが動的に参加離脱を繰り返す環境においても,最大遅延をなるべく小さく保つことができる.このプロトコルを,ネットワークシミュレータns2上に実装し,エンドホストが動的に参加及び離脱を行う環境を仮定した性能評価実験を行った結果,比較的高い性能を達成することが知られている既存の集中型アルゴリズムと比較しても遜色ない最大遅延値を達成していることがわかった.また,制御メッセージによるトラフィックも無視できる程度に抑えられていることがわかった.
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