2005 Fiscal Year Annual Research Report
データ駆動型プロセッサの携帯機器向け応用に関する研究
Project/Area Number |
16700082
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
酒居 敬一 高知工科大学, 工学部, 講師 (90274117)
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Keywords | データ駆動型プロセッサ / ΔΣ変調 / MCU / 組み込み機器 / PLL / A / D・D / A変換 / 自己同期型回路 / データフローグラフ |
Research Abstract |
携帯機器に使用されるマイクロコントローラでは電力消費の少なさや体積の小ささが重要になってくる。そこで、処理内容に着目するとアプリケーション寄りの情報処理と、GUIや通信などの制御、これら2つに大きく分けることができる。情報処理部分はマイクロコントローラの性能向上でソフトウェア化が進んでいるが、制御部分ではかなりの部分がソフトウェア化が進んでいるとはいえ、まだ専用ハードウェアを使用している部分が多い。例えば、PLLやA/D・D/A変換といったものは、オンチップで用意されるか外付けになるかにかかわらず、マイクロコントローラコアとは別の専用のハードウェア回路である。 ソフトウェア化から取り残された回路ブロックが存在し続けている現状があるが、本研究ではマイクロコントローラコアのアーキテクチャに着目し、従来ではソフトウェア化されなかった部分をソフトウェア化する。まず、マイクロコントローラとしては自己同期型回路により実装されたデータ駆動型プロセッサを使用する。これは、全体の同期のためのクロックがないことから、自由な速度で動作させることができる、という性質がある。この性質により、最終的にはPLLやA/D・D/A変換をデータ駆動型プロセッサのソフトウェアにより実現する。本年度は、その予備実験として、DCモータのPID制御を例に、制御ループを(通常の実装例のような)クロック無しに実現し、アーキテクチャの変更によるソフトウェア化の見通しを得た。具体的には、PID制御は数式で表現できるので、データ駆動型プロセッサのソフトウェアであるフローグラフに変換して実装した。パケットの流れで処理がすすむため、時間軸は離散的となるので数式とは厳密には異なるが、フローグラフで処理する周期でもって入力をサンプリングし、出力を制御できた。 最終年度は、この結果を受けて、サンプリング周期を自由に設定するためのPLLや、PLLフローグラフからのパケットを受けて動作するA/DやD/A変換ソフトウェアを実装し、有効性や精度と速度のトレードオフを計測する。本年度でも、A/D変換の部分は実装済みであるが、まだ測定ができてないため、次年度(最終年度)に周囲のソフトウェアとともに完成させる。データ駆動型プロセッサを用いたさらなるソフトウェア化により、携帯機器のようなスペースやコストが限られたところでも、ソフトウェアさえ準備すれば機能を柔軟や性能に設定できるようになり、応用の幅が広がる。
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Research Products
(2 results)