2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700143
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
加藤 丈和 和歌山大学, システム工学部, 助手 (30362859)
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Keywords | 最近傍識別器 / 最近傍探索 / 高速化 / 高次元 / 異常検知 / ターゲット検出 / 対象追跡 / 対象認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は事例に基づく識別技術の基盤である「最近傍識別器」を高速化するとともに、コンピュータビジョンをはじめとする実用分野への応用の可能性を広げることである。 平成16年度には、基礎となる最近傍識別アルゴリズムについて、20次元までの特徴空間までに対して高速化、省メモリ化を実現する「K-D Decision Treeアルゴリズム」を提案した。また、画像中の各画素の色を識別することによって、ターゲット検出を実時間で実現した。また、領域単位の識別を実時間で行う「4分木表現を用いた高速領域識別」を提案し、画素単位、領域単位の識別を実時間で行う応用を示した。 今年度は、さらにコンピュータビジョンの一般的な応用に必要は数百次元から数万次元の特徴に対して、擬似的な最近傍識別器を高速化する「近さ優先探索グラフ」を開発し、またその応用として、対象の認識、追跡を実時間で同時に実現するシステムを開発した。また、高次元において、近似なしで最近傍探索、識別を高速化するためのアルゴリズムとして、「効率的な距離計算戦略による高次元最近傍探索」及び「空間分割と直交変換の統合による高次元最近傍探索」を開発した。また最近傍探索、識別技術の応用として、前年度に開発したターゲット検出の技術を用いた「マーカ追跡」を使ったカメラキャリブレーション手法を開発し、基礎技術としての最近傍識別器を実用的なツールとして利用する可能性を示した。 また、本テーマで開発しているK-D Decision Treeや、空間分割型の最近傍探索アルゴリズムと同様の探索原理を用いた非線形写像学習アルゴリズムである「PaLM tree」を開発し、ロボット制御への応用について検討した。 最終年度となる来年度には、高次元空間における最近傍探索、識別のさらなる高速化について検討をすすめるとともに、十分なトレーニングデータが得られない場合における学習方法について検討し、異常検知、データマイニング、テキストマイニングなど社会的な必要性が高い分野での応用や実用的なアプリケーションの開発について検討していく予定である。テキストマイニングの分野では、大量のテキストデータからの情報検索や迷惑メイルの検出など、問題がより複雑化しているため、近年高度な識別技術が求められている分野であり、本研究テーマで開発している高速、高性能な最近傍識別器を適用することができれば、実社会への貢献も大きいと考えられる。 また、異常検知はテロや犯罪の防止のための不審者の検出などで注目されている分野である。本研究テーマの「最近傍識別器」をはじめとする事例に基づく識別技術は、適応的に事例を学習することで、これらの問題の解決に役立つと考えられる。
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