Research Abstract |
安全性・セキュリティの確保などを重視した「人にやさしい情報社会」のためには,家庭用サービスロボット,高安全自動車などの人間を支援する知能システムが重要となる.このような知能システムを実現するためには,環境情報を高速に取得することが望まれる.最も重要な環境情報として,物体の3次元情報(位置,姿勢,形状)があげられる.そこで,本研究では,究極的高性能化のために,計算量最小化を指向したVLSI向きアルゴリズム,高性能・低消費電力プロセッサアーキテクチャ,先進回路技術,最適設計理論といった各階層における要素技術を確立・統合する.これにより,高信頼な3次元画像取得を数ミリ秒以下で行え,知能システムの実現が大きく促進される. 本年度は,以下の研究開発を行った. 1.高信頼性・高速性を両立するVLSI向きアルゴリズムの確立 まず,3次元情報を高速に取得する手法として中間結果を最大限活用する再帰的ステレオマッチングの検討とその信頼性の定量的評価を行った.ステレオマッチングでではマッチングに用いる画像の小領域(ウィンドウ)の大きさに応じて信頼性が変化する.そこで,最大のウィンドウで大局的にマッチングを行い,その結果を用いてウィンドウサイズを小さくしながら対応結果を改善するアルゴリズムを検討した.さらに,ウィンドウの重複をなくすることにより,計算量を最小化する手法を開発した. 2.最高性能条件下でハードウェア量を最小化するアーキテクチャの確立 提案する複数のウィンドウに対するマッチング結果を用いるため,それらの記憶容量が膨大となる,さらに,メモリ・演算器間のデータ転送がボトルネックとなることが予想される.そこで,アーキテクチャ設計においては,処理時間制約下で記憶容量を最小化するスケジューリング理論,メモリ・演算器間の相互結合網の複雑さを最小化するメモリ・演算器アロケーションを考案した.
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