2004 Fiscal Year Annual Research Report
主観的時間に基づくマンマシンインタラクションシステムの設計とその数理モデル
Project/Area Number |
16700175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川嶋 宏彰 京都大学, 情報学研究科, 助手 (40346101)
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Keywords | 主観的時間(認知的時間)と物理的時間 / 力学系の自己組織化 / 表情認識 / ジェスチャー認識 / ハイブリッドダイナミカルシステム / マンマシンインタラクション / テンポと間 / 区間表現 |
Research Abstract |
微細な表情変化やジェスチャーのテンポなどの情報は,これまでのインタラクションシステムでは変動成分として扱われることが多かったが,人間同士のインタラクションではむしろ意図などを正確に相手に伝えるための情報として,積極的に利用されている.我々人間は,意味のあるイベントを単位として,イベントの順序やテンポ,「間(無音・静止区間)」などを認識し(認知的時間に基づく認識),このイベント単位は,身体に埋め込まれたダイナミクスを利用して無意識化で直感的に行われていると考えられる(物理的時間に基づく認識).従来のインタラクションシステムでは,このいずれかの時間に基づいて時系列をモデル化しているため,テンポや間などの微細なイベントの時間構造を学習・認識・生成することができない.本研究は,これら2つの時間を有機的に結んだ新たな計算モデルを提案し,人間が自然に接することができるインタラクションシステムを実現することを目的とする. 本年度の成果は以下のとおりである.(1)認知的時間および物理的時間の経過に伴う事象の変化を,それぞれオートマトンと線形力学系で表現し,これらを統合したモデルを提案した.このモデルは,単純な変化を表現できる力学系を内部に複数持ち,時系列信号が入力された際に,現在の入力の変化を最もうまく予測・共鳴できるような力学系を活性化させていく.この結果,入力系列を,個々の力学系の表現する単純な動きに基づいて,時間的に分割・分節化し,区間系列の表現に変換することが可能である.(2)カメラによって得られた大量の画像系列(唇映像系列,表情の特徴系列)より,モデル内部の複数の力学系のダイナミクスを自己組織化する手法について提案を行い,その有効性を確認した.次に,区間の持つ持続時間や,隣接する区間での持続時間の因果関係をモデル化し,ジェスチャーの「ため」などを表現・認識する計算の枠組みを提案した.
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Research Products
(1 results)