Research Abstract |
本研究では,並進対称性な空間的相関を持つノイズで劣化した画像の修復を,確率的情報処理の枠組みで議論した.まず,原画像は近接相互作用のみを持つガウスモデルで生成されるとした.さらに,各画素に重畳されるノイズは空間的な相関を持つガヴスモデルで生成されるとし,相関は並進対称性を持つとした. 本研究ではまず,モデルを構成するハイパーパラメータの推定を周辺事後確率最大化から求めることを試みた.周辺事後確率の最大化手法としては,良く用いらている極値方程式の反復法を用いて解いた.その結果,この極値方程式を反復法を用いて解く方法では,アルゴリズムが収束しない場合があることが分かった.この収束しない原因は,ノイズモデルのカーネルにおいて,ハイパーパラメータが特異点を持つためであると予想された.この予想を検証するため,ハイパーパラメータが特異点を持たないように,一つを除く,その他全てのハイパーパラメータを固定した.この場合,極値方程式を反復法を用いるアルゴリズムが収束することが分かった. 申請者は,この検証からパラメータを固定しなくても,全てのハイパーパラメータが目的の値に収束する,特異点を持たないノイズモデルのカーネルの考案に成功した.このカーネルを用いて,本研究では,まず人工画像を用い,空間的相関を持つノイズで劣化した人工画像の修復について実験した.人工画像の修復はうまく行き,空間的相関ノイズを排除することができた.次に,自然画像を用いた場合の画像修復を行った.自然画像には輝度ヒストグラムがガウス分布に近い銀河画像を用いた.銀河画像を用いた場合も,修復はうま行き,空間的相関ノイズを排除することに成功した.しかし,輝度ヒストグラムがガウス分布でない場合の修復は,まだうまく行っておらず,この研究は今後の課題となる.
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