2005 Fiscal Year Annual Research Report
シベリア森林火災延焼予測シミュレーションシステムの開発
Project/Area Number |
16700200
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 浩太 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (20322828)
|
Keywords | 森林火災 / 延焼予測シミュレーション / セルオートマトン法 / 並列計算 / MPI |
Research Abstract |
本研究は、シベリアで毎年発生している大規模な森林火災の延焼予測シミュレーションシステムを開発することである。昨年度までの実績として、これまで開発したプログラムの精度を検証した。その結果、実用的で高精度な予測を行うためには、より高精細度な地形データおよび植生情報が必要であることが判明した。シミュレーションにはセルオートマトン法を用いるが、この方法は、解析領域を格子状に分割し、分割されたセル一つ一つに情報(植生・地形データ)を持たせる必要がある。そのため、シミュレーションの精度を上げるためにはひとつのセルに対応する実面積を小さくする必要がある。それによりセルの総数が膨大になるため単独の計算機では解析に非常に時間がかかるようになる。そこで、本年度は、並列計算ライブラリーであるMPI(Message Passing Interface)を用いてシミュレーションプログラムを並列化し、PCクラスタ上でプログラムを走らせた。その結果、PCクラスタ数が12ノード程度まではほぼ直線的に計算速度が向上するが、それ以上ノード数を増やしても計算速度は飽和してしまうことを確認した。ただし、この結果はセル数が比較的少ない場合の結果であり、より大規模な解析では、この計算速度の飽和は見られないと思われる。 また、風等の気象条件等をシミュレーションに組み入れるために、差分法等の解析手法を使用する可能性があり、その際には大規模な連立方程式を解く必要がある。そのため、大規模な連立方程式の高速解法であるマルチグリッド法の評価を行った。特に幾何マルチグリッド法と代数マルチグリッド法の比較検討を行った。その結果、セルが規則的に並んでいる特性を生かすことができる幾何マルチグリッド法が適していると言える。
|