2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16700220
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
大森 いさみ 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (80368505)
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Keywords | TV料理番組 / 家庭料理 / 魚介類 / 青菜類 / きょうの料理 / 地域性 |
Research Abstract |
NHK「きょうの料理」の放送データ、昭和33年5月〜平成16年3月放送分まで約40.000点の料理について、料理名と分野(日本料理、中国料理、洋食、フランス料理、イタリア料理、その他の西洋料理、朝鮮料理、その他のアジア料理)、使用素材の三つの指標でそれぞれ分類して集計を行った。 料理の分野については、昭和40年までは、分野区分がはっきりしているのが大きな特徴である。内訳をみると、フランス料理の年間放送点数に占める割合が約3割を占め、日本料理の割合が5割程度となっている。これに対し、平成15年度になると、分野分類できないものが3割を超える。その一方で、フランス料理が5%にも満たず、日本料理の割合も3割程度である。番組テキストに「家庭料理」という分野が登場するのが1967年。この頃から、TV料理番組の社会的役割が変化していることが推察される興味深いデータとなっている。 使用素材については、特に、魚介類、青菜類が、経年変化が大きいことがわかった。 魚介類は、放送開始間もない昭和33〜40年が多様な品種が使われ、年間で35品種以上もの魚介類が使用されている。さらに番組を制作している局(発局)の地域性が重視されている傾向が強いのも大きな特徴である。それが、平成に入ると、年間で紹介される料理点数は約1.6倍に増加しているにもかかわらず、魚介類の種類は30品種以内にとどまっている。加えて発局による地域差はなくなっているということが大きな特徴としてあげられる。 放送開始当初のTV料理番組は、"教科書"的色彩の強いものであり、体系だてて「教える」ことを意図して制作されている。次第にその色彩が薄れ、特に平成に入ってからは、視聴者のニーズにあわせた「受ける」料理を紹介する情報番組へと大きく変化を遂げている。現在、家庭料理の代表="おふくろの味"として人気を集めている料理の多くがこの頃からTV料理番組に登場するようになっている。
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