2004 Fiscal Year Annual Research Report
日常言語と詩的言語における共感覚メタファーの比較による表現効果喚起プロセスの解明
Project/Area Number |
16700248
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
坂本 真樹 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (80302826)
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Keywords | 色彩語メタファー / 名詞 / 共起関係 / 心理実験 / コーパス |
Research Abstract |
共感覚メタファーのうち、特に色彩を表す形容詞単独が喚起するイメージと、「色彩を表す形容詞+名詞」という共起関係によって形成されるメタファーが喚起するイメージの比較を、次の手順で行うことにより色彩語メタファーの創発特徴を探った。 研究手順1.Web検索を行い、実際に色彩を表す形容詞がどのようなコンテクストでどのような名詞と共起して用いられているかに関する調査を行った。(坂本・佐野、2004) 研究手順2.色彩語が名詞と共起することによって、色彩語単体の場合と比較してどのような違いが生じるかに着目し、大学生を中心とした20代38名を対象とした心理実験を行った。 その結果、名詞自体は中立的なイメージを持っているにもかかわらず、色彩語により修飾されることにより、色彩語単独が持つイメージとは異なる新たなイメージ、とりわけ否定的なイメージが喚起されるという傾向が見られた。(坂本・佐野、2004;坂本・古牧、2004) 研究手順3.手順2の心理実験で捉えられた色彩語メタファーの表現効果の傾向について、実際に用いられている言語表現を対象とした実証的な検討を行うために、文学作品のコーパスを用いて、色彩語と名詞が共起している表現及び各色彩語が用いられている文章の分析を行った。(坂本・古牧、2004) 以上の結果、「色彩を表す形容詞+名詞」という共起関係によって形成されるメタファーは、色彩を表す形容詞単独が喚起するイメージとは異なる、新たなイメージを喚起することがわかった。とりわけ、色彩語メタファーは色彩のイメージを強調し、否定的イメージを喚起するという傾向が確認された。
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