2004 Fiscal Year Annual Research Report
三次元物体認知における景観の比較照合過程に関わる脳内メカニズムの解明
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16700251
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹岡 貴史 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 研究員 (60367456)
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Keywords | Object Recognition / View Generalization / Brain Imaging / Optical Topography / Ventral Stream / Dorsal Stream / Active Exploration / Motor System |
Research Abstract |
1)従来の心理実験とほぼ同じ環境下で脳活動測定が可能な光トポグラフィ装置を用いて,物体認識課題時の脳活動を測定した.課題ではCGで生成された新奇物体の景観を2個継時的に提示し,被験者はそれらが同じ物体の景観かを答えた.2個の景観が同じ物体の場合,それらの回転角度差について水平回転で0度,15度,45度の三条件を設けた、その結果,後頭-側頭領域で回転角度差の小さい0,15度条件において,45度条件より酸素化ヘモグロビン濃度が有意に増加した.このことは,後頭-側頭領域では物体の記憶表現と入力との鋳型照合的プロセスで物体の景観が処理されていることを示唆する.右頭頂領域では,回転角度差に関わらず酸素化ヘモグロビン濃度が増加した.このことから右頭頂領域は,視点に独立して駆動される物体認識プロセスに関与していることが示唆される.以上の知見は,物体認識が腹側・背側経路の二つのプロセスによって成り立っていることを示唆している. 2)背側経路の物体認識プロセスには運動系が大きな役割を担っていることが予測される.そこで,被験者が能動的に物体を回転して景観の変化を観察することが,後の景観の般化課題に与える影響を調べた.実験では被験者を,トラックボールを用いて物体を回転して観察するactive群と,active群の被験者のリプレイを観察するpassive群に分けて比較を行った.その結果,active群にのみ有意な般化範囲の増大が見られたが,増大の範囲は回転可能範囲と回転軸に依存していた.また,観察課題で用いた物体は般化課題と同じカテゴリの新奇物体であるが異なる形状の物体であることから,この般化範囲の増大は,能動的観察によって記憶表現の符号化が促進されたのではなく,景観の比較照合過程が促進されたことを意味している.以上の知見は,物体認識において運動系が積極的な役割を担っていることを示すものである.
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