2004 Fiscal Year Annual Research Report
文字情報による意思伝達事態での感情情報の伝達の効率化に関する認知心理学的研究
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16700252
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Research Institution | Shoin Higashi Women's Junior College |
Principal Investigator |
岩原 昭彦 樟蔭東女子短期大学, 生活学科, 専任講師 (30353014)
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Keywords | ミスコミュニケーション / 感情 / 言語情報処理 / 認知心理学 / 表記形態 / 対人関係 / 人工知能 / ことば工学 |
Research Abstract |
本研究では、電子メールや携帯メールなどの電子通信媒体を通じてなされるコミュニケーション事態で生じるミスコミュニケーションの特性と、その回避方法について調べることを目的として,2つの調査研究を実施した。383名(調査1に186名,調査2に197名)の大学生が調査に参加した。調査1では、携帯メールで生じるミスコミュニケーションの事例が収集された。得られた事例は,主に語用論的な観点に基づいて分類された。その結果,メールによる対話で生じるミスコミュニケーションには,一定の表現形式が用いられていることが明らかになった。また,本研究では、ミスコミュニケーションを防ぐためにはどうすればよいのかに関する事例も収集された。活字体の工夫や絵文字の使用がどの程度,送信者の意図を伝達することに貢献すると認識しているのか,ミスコミュニケーションを防ぐためにはどのような表現形式を用いればよいと考えているのかについて調査をした結果,ミスコミュニケーションの防止に対する意識と実際に利用する表現形式とには"ずれ"があることが認められた。調査2では,調査1で得られた情報表現形式上の"ずれ"を低減する方法について検討した。絵文字や顔文字の使用は,一般的には,情報の送信者の感情状態を伝達するための有効な手段であると考えられている。しかしながら,調査1の結果からは,絵文字や顔文字を使用する状況により,それらの効果が有効であるか否かが決定されることが明らかになった。そこで調査2では,ミスコミュニケーションが生じやすいとされる携帯メールでの会話場面において,伝達する内容の曖昧さと顔文字の使用との交互作用を検討した。伝達される内容が曖昧な場面での顔文字の使用は,送信者の感情状態を表現する有効な手段となりうるが,伝達される内容が明確な場面で顔文字を使用すると反対に,送信者が意図していない感情状態が伝達されることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)