2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700267
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
上野 玄太 統計数理研究所, モデリング研究系, 助手 (40370093)
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Keywords | データ同化 / カルマンフィルタ / 非線型フィルタ / 大気海洋結合モデル / 海面高度 |
Research Abstract |
これまでの同化実験の結果から、EnKFにより適切なフィルタリングを行うためには、システムモデルを適切に設定することが本質的に重要であることが分かってきた。そこで、変数の因果関係を頂点と辺で表すグラフィカルモデリングのアプローチを利用して、システムモデルの設計法を提案した。手順は以下のとおりである。 1.シミュレーションコードと観測データをグラフで表す。 2.観測データの親ノードを状態変数の一つとして選ぶ。 3.その親ノードの先祖ノードの中から1つ、システムノイズを与える変数を選び、システムノイズノードとする。 4.システムノイズノードの子孫にあたる全種類の変数を選び、状態ベクトルを構成する。 5.選ばれた状態変数のうち、親ノードがすべて状態ベクトルに含まれているものは、冗長であるために削除する。 6.状態遷移の条件が満たされるかどうかを確認する。満たされていないときは、3に戻って別のシステムノイズノードを試す。 7.もともとのシミュレーションコードを得られた状態ベクトルに相応しいように修正する。 以上の手続きを踏んだ上で、EnKFの計算を実行した。つづいて、EnKSを用いることで、全期間のデータを使った平滑化推定値を求めた。さきのEnKFと異なる点は、EnKFで得られる各タイムステップのフィルター推定値はそのタイムステップまでのデータしか使っておらず、より未来のデータの情報は加味されていないことである。当然ながら、全期間のデータを使った平滑化推定値の方が精度が向上する。EnKSの計算結果を図2の右から2番目に示す。フィルター推定値よりもデータに近い得られていることが明らかである。 今年度の成果で平滑化推定値が得られたことから、ZCモデルの4次元同化が一通り達成された。グラフィカルモデリング手法を用いたシステムモデルの設計は、EnKFを適切に実行するために有用である。
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