2004 Fiscal Year Annual Research Report
疾病地図に係る新たな統計手法の開発とシミュレーションによるその評価法について
Project/Area Number |
16700269
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
高橋 邦彦 国立保健医療科学院, 技術評価部, 研究員 (50323259)
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Keywords | 空間統計学 / 疾病の集積性 / 検出力 / クラスター / 検定 / scan statistic / 空間疫学 / 疾病地図 |
Research Abstract |
医学や生物統計学などの分野では、近年、疾病集積性の問題が着目されて来ている。これは、市区町村別の健康状況・疾病状況を比較検討する際に、ある疾病が特定の地域に集積しているかどうかを検定・検出するための統計学的検定手法である。その中でも本研究では、集積地域の同定も行うCluster detection test(CDT)について検討を行った。この疾病集積性の検定CDTにおいて、その簡便さや研究者自らがアプリケーションソフトSaTScanをインターネット上で無料配布していることから、Kulldorffの方法(1997)が世界的によく利用されているが、この方法では集積地域(クラスター)の形状によってはうまく検出されない場合がある。そこで、本研究ではまず、Kulldorffの方法を改良する形で、新たな検定法Flexible Scan法を提案した。この方法は、特にKulldorffの方法で検出しづらいクラスターの場合にもきちんと適応できる良い検定手法であることを、シミュレーションによって検証することができた。また、この手法を実際に広く利用してもらえるよう、プログラムFleXScanを開発し、インターネット上で無料配布を行った。さらに、次年度の研究の準備も兼ね、これらの集積地域を同定する検定手法の評価について検討を行った。従来は、実際に同定された地域がどうなっているかを考慮しない一般的な検出力が用いられているが、これでは不十分である。本研究では、実際の同定された地域を考慮した新たな評価指標を提案し、これらの検定法の評価についてさらに検討を行っている。
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