2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700272
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
木ノ内 誠 山形大学, 工学部, 講師 (60312758)
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Keywords | tRNA遺伝子 / DNA塩基配列 / クローバー葉2次構造 / イントロン |
Research Abstract |
DNA配列決定技術の進歩により,驚異的な速度で生物の全ゲノム配列が解明されつつある.tRNAは遺伝子が発現する際に,翻訳においてmRNAとアミノ酸を結びつける重要な役割を担っている.tRNAの組成は遺伝子の発現量と大きな相関があることが知られている.したがって,生物が持つ全tRNAを知ることは,遺伝子発現の解明に大きな手がかりを与える.一方,タンパク質として発現するmRNA遺伝子と比較して,直接的な需要の少なさから,tRNA遺伝子の「実験的な」検出は遅れている.DNA配列情報からtRNA遺伝子を「情報的に」検出できれば,実験を行なう際の大きな指標になる.また,DNA配列上でtRNA遺伝子は群をなしていることが多い.その並びには生物間での共通性が見られ,進化の過程や生物間のインタラクションに関する指標となりうる.このことからも全tRNA遺伝子の検出は非常に有用である.本研究ではDNA配列中から全てのtRNA遺伝子を見つけ出すことを目的とした.ほとんどのtRNAがクローバー葉2次構造を取ることが知られており,この共通構造を出発点として,tRNA遺伝子をDNA配列上から見つけ出す.そこで,4つのステムで塩基対が成立するか否かに基づき,クローバー葉2次構造を組めるDNAの部分配列を検出する方法を確立した.さらに,アンチコドンループ中にイントロンを含む場合にもクローバー葉2次構造を検出できるようにした.クローバー葉2次構造が組める(4つのステムで塩基対が成立する)からと言って,必ずしもtRNA遺伝子ではない.既知のtRNA遺伝子の配列を自己組織化マップ(SOM)によって分類し特徴抽出を行った.この特徴に基づき,様々な絞り込みの条件を付加した.本研究で開発した手法はDNA配列から「情報的に」tRNA遺伝子を検出する方法であり,絞り込みの条件は選択可能なまま残した.ウェブページ上に本手法のオンライン版を公開することによって,多くの方々に利用いただけるようにした.
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