2004 Fiscal Year Annual Research Report
信頼性の高い蛋白質同定のための質量分析データ検索アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
16700277
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
川上 隆雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (40366117)
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Keywords | Elution time prediction / Hepatitis B virus core protein / Liquid chromatography / Mass spectrometry / Probability score-based clution correlation / Product ion serach / Protein identification / Proteomics |
Research Abstract |
プロダクトイオン検索は、質量分析による蛋白質同定法のひとつとして広範に使用されている。とくに生体試料中に含まれる複数の蛋白質を同定する際には、液体クロマトグラフィー(LC)と直結したタンデム質量分析(MS/MS)システムによって、多数のペプチド由来のプロダクトイオンスペクトルを取得するアプローチが採られる。そのデータの生産性は高い反面、自動取得されたこれらスペクトルをそのまま市販のソフトウエアを用いてデータベースに対して検索にかけると、一般に多くの偽陽性ヒットが生じる。今回開発したプログラムでは、各プロダクトイオンスペクトルに割り当てられたペプチド配列から予測されるLC溶出時間とその実測値との間の相関を取り、一定の誤差範囲内に収まるスペクトルを蛋白質同定スコアの計算に用いた。ペプチド溶出時間の予測式と許容誤差の設定のための学習セットとして、出芽酵母20Sプロテアソームのトリプシン消化断片196個、およびリン酸化ペプチドとその非リン酸化体3組を用いた。実試料からの取得データでは、確率スコアの高いペプチド割り当てから順に溶出時間の回帰曲線に乗せていき、0.9程度の相関係数が得られるペプチド割り当ての組を見出した。これを「確率スコアに基づく溶出相関(Probability Score-based Elution Correlation, PSEC)」と名づけた。誤差範囲外のペプチド割り当ては偽陽性ヒットとしてあらかじめ蛋白質同定スコアの計算から除いた。現実のLCグラジエントに合わせて、回帰式として線形近似のほかに二次の多項式などの非線形近似も選択することができる。ヒトB型肝炎ウイルス粒子のコア蛋白質に結合する宿主因子の解析では、このプログラムの導入によって統計的に有意と見なされる蛋白質を導入前と比べて約3分の1に絞り込むことが出来た。
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[Journal Article] Interaction of the hepatitis B virus X protein (HBx) with heat shock protein 60 enhances HBx-mediated apoptosis2004
Author(s)
Yasuo Tanaka, Fumihiko Kanai, Takayuki Kawakami, Keisuke Tateishi, Hideaki Ijichi, Takao Kawabe, Yoshihiro Arakawa, Takao Kawakami, Toshihide Nishimura, Yumiko Shirakata, Katsuro Koike, Masao Omata
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications 318
Pages: 461-469