2004 Fiscal Year Annual Research Report
組み換えアデノ随伴ウイルスを用いた哺乳類概日時計機構におけるリン酸化の役割の解析
Project/Area Number |
16700287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
礒島 康史 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (40281670)
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Keywords | 概日リズム / 視交叉上核 / リン酸化 / Casein Kinase 1 epsilon / Period / 核内移行 |
Research Abstract |
哺乳類概日リズムの発振機構における蛋白質リン酸化の役割を明らかにする目的で、概日リズムに関与しているリン酸化酵素Casein Kinase 1 epsilon (CK1ε)による時計関連蛋白質Period1(Per1)のリン酸化部位を同定した。リン酸化部位は3ヶ所のクラスターに分かれており、最もアミノ末端側に存在するクラスターがCK1εによるPer1のリン酸化依存的核内移行に関っていること、そしてクラスターの中でもSer661およびSer663のリン酸化が重要であることを明らかにした。また、研究代表者らは、埼玉医科大学の海老澤博士らとの共同研究により、ヒトの概日リズム異常の患者で有意に少ない遺伝子多形(SNP)であるCK1εのS408N置換が、CK1εの活性を上昇させることを見いだした。CK1ε-S408NがPer1〜3のリン酸化においてもwild typeに比べて高い活性を示すことも確認した。また、CK1εには3種類のsplicing variantが存在することを見いだした。これら3種類のvariantはそれぞれ異なった臓器分布を示しており、in vitro kinase assayにより、CK1ε-3が活性を持つことも確認した。加えて、CK1ε-3に対する特異抗体を作成し、免疫組織化学法にて脳内の分布を調べたところ、CK1ε-1(従来CK1εと表記されてきたもの)とは全く異なる分布を示すことを明らかにした。以上の結果は、CK1εのsplicing variantがそれぞれ異なる生理機能に関与していることを示唆するものであった。
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