2005 Fiscal Year Annual Research Report
組み換えアデノ随伴ウイルスを用いた哺乳類概日時計機構におけるリン酸化の役割の解析
Project/Area Number |
16700287
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
礒島 康史 独立行政法人理化学研究所, 比較システム解析研究チーム, 上級研究員 (40281670)
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Keywords | 概日リズム / リン酸化 / Casein Kinase 1 epsilon / Period / 核内以降 / PIPS / NGF |
Research Abstract |
前年度の本研究課題における研究にて、申請者らはCasein kinase 1 epsilon(CK1ε)が時計関連蛋白質Period1(Per1)の核内移行に関与していること、CK1εの活性が概日リズム周期に影響を与え、リズム異常の発症に関連があることを報告した。これらの研究成果は、哺乳類概日リズムの発振機構においてCK1εが重要な役割を担っていることを示唆している。本年度は、更にこの点について解析を進めるべく、培養細胞株NIH3T3細胞に、CK1εによるリン酸化部位に変異を入れたPeriod蛋白質を導入し、その概日リズムに与える影響を調べた。その結果、核移行に関わるリン酸化部位の変異体であるmPer1-S[661,663]Aの導入は概日リズムに影響を及ぼさなかったが、家族性位相前進症候群の原因とされるリン酸化部位の変異体(mPer2-S[659]G)の導入は位相を前進させることを明らかにした(投稿準備中、第78回日本生化学会発表)。また、CK1εによるPeriodのリン酸化が概日リズム機構に重要なことから、Per1と相互作用する分子PIPS(Per1 interacting protein in the SCN)の機能解析を行った。PC12細胞株におけるPIPSの細胞内局在を解析したところ、PIPSはNerve growth factor(NGF)刺激により核内に移行することが明らかになった。また、PIPSはGab1と結合してPI3 Kinase(PI3K)依存的に核内移行すること、PIPSのdsRNAによる発現抑制によりapoptosisが増加したことなどから、PIPSがNGFによる細胞生存維持機構に関与していることを明らかにした(研究成果参照)。
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