2004 Fiscal Year Annual Research Report
小脳における記憶・学習の新しい分子機構-δ2グルタミン酸受容体の役割
Project/Area Number |
16700290
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松田 信爾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60321816)
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Keywords | δ2グルタミン酸受容体 / 細胞表面輸送 / プルキンエ細胞 / δ2受容体ノックアウトマウス / グルタミン酸結合部位 / 小脳 / シナプス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体チャネルは興奮性のシナプス伝達、神経系の発生、およびシナプス可塑性において中心的な役割を果たしている。最近、グルタミン酸受容体の機能が、その細胞表面における数の変化により調節されていることが明らかになってきている。δ2グルタミン酸受容体は他のグルタミン酸受容体に比べて、より効率的に小脳プルキンエ細胞シナプスの細胞表面に輸送されることが知られている。そこで、研究代表者らはグルタミン酸受容体チャネルの輸送機構を明らかにすることを目的として、δ2グルタミン酸受容体のC末細胞内領域に様々な欠損変異を導入し、それらの細胞内分布を解析した。その結果、膜貫通領域直下の13アミノ酸を欠くδ2グルタミン酸受容体は、小胞体内にとどまり細胞表面に輸送されないことが明らかになつた。このことからδ2グルタミン酸受容体の膜貫通領域直下の13アミノ酸は小胞体からの輸送に必須であることが明らかになった。(Matsuda et al. 2004) δ2グルタミン酸受容体はアミノ酸配列からグルタミン酸受容体ファミリーに分類されているが、実際にグルタミン酸が結合するか否かは明らかにされていない。そこで研究代表者らはグルタミン酸の結合に必須と考えられているアルギニン残基をリジン残基に変異させたδ2受容体をδ2受容体のノックアウトマウスの小脳に発現させるトランスジェニックマウスを作成し、小脳機能が回復するか否かを解析した。その結果、変異δ2受容体を導入したマウスでも、野生型のδ2を導入したものと同様に小脳の形態、および機能が回復していた。これらのことからδ2受容体の機能にはグルタミン酸結合部位は必須ではないことが明らかになった。(Hirai et al. 2005)
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