2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックフィッシュの手法による、神経活動に変化を加える系の開発
Project/Area Number |
16700292
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (80270479)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / トランスジェニック / 神経 / 不活性化 / テタナス毒素 |
Research Abstract |
本研究を進めるにあたり、発現誘導システムが必要である。なぜならば、神経細胞の機能を不活化させる遺伝子、たとえばテタナス毒素遺伝子を、直接、遺伝子(たとえばEn1)の発現制御領域のもとで発現させた場合、その魚は性成熟の前の段階で致死となりラインが確立できないと予想されるからである。このため、本研究ではGal4-UASシステムを取り入れることにした。このシステムでは、2つのストレインの掛け合わせ(たとえば、En1::Gal4とUAS::TeNTとの掛け合わせ)で発現誘導を行う。1つの問題点として、トランスジェニックゼブラフィッシュ作製の際に独立のマーカーシステムが開発されていないため、PCRによるgenotypingを必要とし、ラインの確立がたいへん煩雑になるということが予想された(現在までに作製されているトランスジェニックフィッシュは、申請者自身のものも含め、ほぼすべて蛍光タンパクの発現でスクリーニングがなされている).そこで、蛍光タンパク質を発現する独立のマーカーシステムの確立を目指した。具体的には、rod-opsinのプロモーターに赤色蛍光タンパク質をつないだもの(Rh1::DsRed)が独立マーカーとして機能するか調べた(トランスジェニックフィッシュでは目に赤い蛍光を発する)。モデルケースとしてUAS::GFP、およびHuC(汎神経細胞プロモーター)::Gal4のコンストラクトにこのマーカーをつないでトランスジェニックフィッシュを作製し(目の色でスクリーニング)、お互いのストレインを掛け合わせたところ、神経細胞すべてでGFPの発現が誘導できることが確認された。すなわち、独立マーカーでスクリーニングを行うことが可能な、Gal4-UASシステムがゼブラフィッシュで確立された。 ついで、トランスジェニックゼブラフィッシュ作製効率の向上を目指した。DNAコンストラクトにI-SceIのサイトを導入し、I-SceI酵素と共にインジェクションを行うことによって、50%にも達する効率でトランスジェニックフィッシュを作製することに成功した。現在、HuCプロモーターのもとにTeNTを発現させて、その効果を調べている。
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