2004 Fiscal Year Annual Research Report
損傷運動ニューロンにおけるDNAメチル化と遺伝子発現制御
Project/Area Number |
16700307
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
瀬尾 寿美子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70311529)
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Keywords | 神経再生 / グルタミン酸トランスポーター / 神経損傷 / DNAメチル化転移酵素 / プロモーター |
Research Abstract |
損傷を受けた末梢運動ニューロンはラット・マウス間で逆の運命をたどる。ラット損傷運動ニューロンは生存再生するのに対し、マウスでは徐々に神経細胞死が引き起こされる。これはマウス損傷運動ニューロン特異的に神経細胞型グルタミン酸トランスポーターEAAC1の発現が抑制されることが原因であると考えられた。このようなラット・マウス間の遺伝子発現制御の違いには遺伝的背景が深く関与していると考えられた。そこで我々は1.マウスEAAC1プロモーター解析と2.マウス損傷運動ニューロンでのDNAメチル化あるいはメチル化転移酵素の発現動態の検討を行い、マウス損傷運動ニューロンで見られるEAAC1発現抑制のメカニズムを明らかにする目的で実験を行った。 1.マウスEAAC1プロモーター解析 各種長さのマウスEAAC1プロモーター領域にルシフェラーゼをつないだコンストラクトを作製しプロモーターアッセイを行った。その結果EAAC1プロモーター3'側領域に転写抑制を担う領域が含まれており、この部分を削ると著しくプロモーター活性が上昇することが明らかになった。また、この領域は極めてCGリッチな配列を含んでおり、DNAメチル化と何らかの関係を有すると考えられた。次年度はこのEAAC1プロモーター活性抑制効果のメカニズムを詳細に検討する。 2.損傷運動ニューロンにおけるDNAメチル化転移酵素の発現動態 3種類のファミリーからなるDNAメチル化転移酵素(Dnmt)のうち、マウス損傷運動ニューロンではDnmt1が神経損傷12時間後に転写促進し、Dnmt1蛋白質が損傷後24時間で核内へ集積することが明らかになった。しかしこのような変化はラットでは認められなかった。これはマウス損傷運動ニューロン特異的にひきおこされる遺伝子発現調節にDnmt1が何らかの影響を与えていることを示唆すると考えられる。
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