2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系特異的に局在する新規ミエリンタンパク質の同定と解析
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16700324
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
柏木 明子 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 教務員 (90335521)
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Keywords | myelin protein / CNS specific / mass spectrometry / 2-DE / identification / localization |
Research Abstract |
申請者はペプチドをウサギに免疫し、ポリクローナル抗体を作製した。この抗体を用いて、マウスの各組織について免疫組織化学染色を行った結果、脳の中枢神経系の有髄繊維にのみ陽性を呈する、中枢特異的ミエリンタンパク質様の免疫染色像を示した(図1)。さらにこの抗体を用いたウエスタンブロット、免疫沈降の結果、この抗体は偶然にも、中枢神経系特異的に局在し末梢神経系には局在しないような、分子量約70kDaのタンパク質(以下p70タンパク質と略す)を特異的に認識していることが確認された。 現在までに既にマウスにおいていくつかのミエリンタンパク質が同定されているが、分子量が異なることからこのp70タンパク質は既知のミエリンタンパク質とは別物の分子であることが分かる。以上の経緯から、申請者が作製した抗p70タンパク質抗体を用いて、中枢神経系特異的に局在を示す新規マウスミエリンタンパク質としてその抗原タンパク質の同定を試みた。 まず、この抗体をプローブとして、成熟マウス脳由来の発現ライブラリーによるイムノスクリーニングによりp70タンパク質の単離を試みたが、同定には至らなかった。 そこで、同定のストラテジーを変更した。二次元電気泳動法によりマウス脳ライセートを展開し、ウエスタンブロットした。転写後もおよそ50%のタンパク質は転写されず、ゲル中に残存することが知られているため、同時に転写した後のゲルを銀染色した。ウエスタンブロットで得られた強いシグナルの場所に相当するスポットを、銀染色したゲルからパンチして精製し、飛行時間型質量分析装置にかけることによって同定するという実験系を現在進行している。 平成17年度内も、引き続きp70タンパク質の同定を試み、マウスの発生段階を追った発現解析、および中枢神経系における電子顕微鏡レベルの免疫染色を用いた分布を解析し、p70タンパク質の膜構造維持に果たす役割を検討したい。
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