2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳の獲得的性質におけるCNR/プロトカドヘリン分子の機能解析
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16700332
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
平林 敬浩 生理学研究所, 生体情報研究系, 助手 (40297015)
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Keywords | gene targeting / protocadherin / 遺伝子変換マウス |
Research Abstract |
新規クラスター型カドヘリン様細胞接着分子であるCNR(Cadherin-related neuronal receptor)は14種のファミリー分子が存在しており、いずれの分子種も中枢神経系のシナプスに局在し、さらに細胞外ドメインにカドヘリンモチーフを有することから神経細胞間の接着や認識に関わることが予想される。また、それらの遺伝子は染色体上にタンデムに並んだ14個の可変領域エクソンと3つのエクソンからなる共通領域からなるクラスター構造を有し、各CNRファミリーはそれぞれひとつの可変領域エクソンと共通領域から転写されていることが明らかになっている。この転写様式は免疫系での多様性を司るT細胞受容体やイムノグロブリン遺伝子群と類似していることから、CNRはシナプスでの選択的細胞接着と多様化機構を有し中枢神経系における複雑な神経回路網形成に重要な役割を演じていると考えられる。そこで本研究では中枢神経系におけるCNR遺伝子の機能を個体レベルで解析し、脳に獲得的性質をもたらすメカニズムを明らかにする目的でCNR遺伝子および関連遺伝子ノックアウトマウスを作製を試みた。 本年は全てのCNRファミリー遺伝子が欠損したマウスの作製を試みた。共通領域エクソンの上流または下流にloxP配列を導入したマウスをそれぞれ作製し、これらのマウスを交配させ共通領域の上流と下流にloxP配列を有するマウスを得た。これを組換え酵素Creを発現するトランスジェニックマウスとさらに交配させることで、共通領域を欠損したマウスを得ることができた。現在、このマウスの表現型について解剖学的解析および行動解析をしている。また、14種存在するファミリー分子のうち1種のCNR分子のみを発現するマウスについても作製している。
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