2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質深層特異的に発現する転写調節因子Fezの機能解析
Project/Area Number |
16700333
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 浄 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教授 (20342719)
|
Keywords | 大脳新皮質 / リーラーマウス / Fez |
Research Abstract |
網羅的、体系的な解析の結果、マウス大脳新皮質特異的に発現する遺伝子としてジンクフィンガーモチーフを含有する遺伝子Fezを同定した。発生段階を追った詳細な形態学的解析により、Fezは大脳新皮質内において、将来の第5,6層の錐体細胞が皮質板に形成され始める胎生12-13日付近に一致し発現が誘導され、初期発生段階から成獣に至るまで第5,6層の錐体細胞に限局して発現が維持された。これらのことからFezは大脳新皮質第5,6層の錐体細胞の発生、成熟、また皮質下への軸索投射をはじめとするこれらの層固有の機能を研究する上で有益なマーカーとなるとともにFezの機能解析は層特異的な軸索伸展機構など層固有の性質獲得の分子メカニズムの解明につながる可能性が高いと考えられる。 リーラーマウスは大脳新皮質の層構造に異常をきたす突然変異マウスである。リーラーマウスにおいては第5,6層の錐体細胞は特定の位置に配列せず全層に分布するが、逆行性標識を用いた研究や電気生理学的研究により皮質下への軸索投射は正常に保たれていることがわかっている。リーラーマウスにおいてFezの発現分布を検討した結果、その発現パターンはリーラーマウスの脊髄、視床などの皮質下領域にトレーサーを注入したときの新皮質における逆行性標識細胞の分布と酷似していることを明らかにした。このパターンの一致はリーラーマウスにおいても細胞の配置パターンはくずれるもののFezが正常に発現することにより正常な軸索投射を誘導している可能性を示すものである。
|
Research Products
(1 results)