2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージングによるマウス受精卵内イベントの可視化
Project/Area Number |
16700345
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山縣 一夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (10361312)
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Keywords | 受精 / 初期発生 / 哺乳動物 / バイオイメージング |
Research Abstract |
本年度はまず、マウス卵子や初期胚を用いた蛍光イメージングのハード面の整備や実験条件の設定など実験系の立ち上げを中心に行った。具体的には、卵子や初期胚で効率良く翻訳され得るmRNAをデザインし、それをin vitroで合成するためのプラスミドベクターを開発した。また、本イメージングシステムでは卵子や初期胚を蛍光観察した後、効率よく胚を発生させる必要性がある。そこで、卵子内へとマイクロインジェクションする蛍光タンパク質融合mRNAのインジェクション時期や導入量が胚発生率に与える影響を検討した。さらに、蛍光観察自体が胚に与えるダメージを最小限に留め、なおかつ微細な構造まで観察可能な顕微鏡画像取得のシステムを整えた。以上の結果は実験手技的な内容ではあるが、初期胚発生における基礎研究だけでなく畜産分野などへの応用が考えられることから成果を広く公表しさまざまな研究者に使ってもらう価値があると考え、現在論文として投稿中である。 確率した蛍光イメージングシステムを用いて研究実施計画にあるうち特に「DNAメチル化状態の可視化」を重点的に行った。メチルシトシン結合タンパク質であるMBD1と蛍光タンパク質の融合コンストラクトを用いて、受精直後から着床前初期胚発生を追って雌雄クロマチンのメチル化状態を観察した。その結果、これまでの報告にあるような抗メチルシトシン抗体を用いた染色では見られなかったいくつかの新規な現象を見出すことに成功した。また、同様の実験を円形精子細胞注入胚に対しても行ったところ、通常受精で得られた胚と比べて明らかなDNAメチル化状態の異常が見られた。このことは男性側不妊治療として用いられている円形精子細胞卵子内注入法で得られた胚がエピジェネティックに通常胚と異なることを示している。以上の結果は現在論文準備中である。
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