2004 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈弓部に留置されたステントグラフトの変形様式の解明-大動脈瘤治療のための最適なステントグラフト構造をめざして-
Project/Area Number |
16700362
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森 浩二 山口大学, 工学部, 講師 (40346573)
|
Keywords | ステント / 機械特性 / 半径方向の剛性 / 柔軟性 / 設計変数 |
Research Abstract |
大動脈部に用いられるステントは,冠動脈部で用いられるステントのようにステンレス製ではなく,NiTi合金が用いられる.またNiTiの超弾性を利用して血管壁を半径方向に支持する.大動脈部に用いられるステントは直径が非常に大きいこと(冠動脈ステントでは直径3.0mm程度,大動脈ステントでは直径30〜40mm程度)から,従来の冠動脈ステント設計の延長では,最適構造を得られない可能性が高い。また大動脈部は血流が速く,その影響も将来的には考慮すべきである. そのため本年度においては,大動脈ステントを考慮したNiTi合金ステントの設計変数(セル部の長軸方向長さ・円周方向配置数など)をさまざまに変更し,各種設計変数のもとで,ステントの4つの機械特性(半径方向の剛性・長軸方向の柔軟性・真円度・収縮率)について数値解析を用いて検討した. その結果,半径方向剛性についてはセル部分の支柱幅の寄与が最も大きく(59.94%),ついでセルの長軸方向長さの寄与が大きい(24.69%)ことがわかった.長軸方向の柔軟性については円周方向のセル配置数が支配的(寄与率:91.8%)であることがわかった.真円度については,円周方向のセル配置数とセル部分の支柱幅の寄与率がほぼ同等(24.84%と19.28%)であることがわかった.収縮率については,円周方向のセル配置数の寄与率がもっとも大きく(48.71%),ついでセル部分の支柱幅の寄与が大きい(33.08%)ことがわかった. これらの結果から,大動脈ステントにおいては円周方向のセル配置数とセル部分の支柱幅がステントの機械特性に大きな影響をおよぼしており,これらの2つの設計変数によって大動脈ステントの特性を容易に変更できることがわかった.冠動脈ステントに対して小数の設計変数が多数の機械特性に影響をおよぼしている点が特徴であることがわかった。
|