2004 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の未分化性を長期維持し分化効率を高める再生医療バイオインターフェイスの創製
Project/Area Number |
16700378
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
金野 智浩 財政法人神奈川科学技術アカデミー, 再生医療バイオリアクタープロジェクト, 研究員 (80371706)
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Keywords | 胚性幹細胞(ES細胞) / リン脂質ポリマー / 胚様体 / 微細加工技術 / 光反応性ポリマー / 分化抑制 / 分化誘導効率 |
Research Abstract |
本研究の目的は胚性幹細胞(ES細胞)の分化・未分化を制御する培養システムを構築することである。分化系においては効率的に胚様体(EB)を作製することを目的にした。基材表面に生体膜類似構造を構築できる2-メタクリロイルオキシエチルポスホリルコリン(MPC)を一成分としたMPCポリマーを用いた。MPCポリマー表面では既存の培養基材と比較して迅速なEB形成および細胞播種数に応じたサイズ制御を可能にした。形成したEBは既存法で作製したEBよりも細胞間接着に関与する転写因子発現が亢進していた、一方で分化に関与する転写因子発現を抑制していた。特定の分化刺激後ではそれに関与する転写因子発現の亢進を認めた。これまでのEBはその不均一性から分化誘導効率が低かったと考えられる。均一サイズのEBを提供できる基材は分化誘導研究におけるボトルネックを解消できると期待される。今後は分化におけるEBサイズの影響を検討する。 未分化系においてはフォトリソグラフィーによる光反応性ポリマーを用いたマイクロパターン化表面を作製した。細胞接着領域として100マイクロメートル四方のゼラチン表面とし、その周囲にMPCポリマーを固定化したマイクロパターンとした。マイクロパターン内ゼラチンに接着したES細胞は増殖するに従いコロニー形成した。コロニーはパターンサイズ以上に成長することはなかった。一方、マイクロパターン外の表面ではコロニーが巨大化した。マイクロパターン内のコロニーは免疫染色の結果、未分化性を維持しているのに対し、それ以外の領域で巨大化したコロニーは未分化性を消失していたことを示した。つまり、既存の細胞培養法は実験者の経験則に依存するのに対し、マイクロパターン基材では常にコンスタントに未分化を維持したES細胞培養が可能であると考えられる。今後は種々のサイズのマイクロパターンを作製し、分化抑制培養に最適なコロニーサイズを規定できる基材の作製を検討する。
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