2005 Fiscal Year Annual Research Report
医用重粒子線CTにおける最尤推定型画像再構成アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
16700391
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
村石 浩 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (00365181)
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Keywords | 断層撮像装置 / 放射線治療 / 画像再構成アルゴリズム |
Research Abstract |
本申請では、がんの新しい治療法として最近注目を集めている重粒子線がん治療の治療計画の更なる向上を目的として、現在開発が進められている医用重粒子線CTの画質向上のための新しい画像再構成アルゴリズムに関して2年間に渡り検討を行ってきた。本年度は、昨年度に引き続き、X(γ)線断層撮像装置の分野で先駆的に開発が行われている最尤推定型画像再構成法、とりわけEMアルゴリズム(以下X-ML-EMと呼ぶ)を重粒子線CTに応用するための検討を継続的に行ってきた。とりわけ、被写体内における核破砕反応による減弱(診断領域で約10%のオーダー)に対しては、透過型X-ML-EM法を直接応用できる可能性があり、その際に必要となる被写体内における重粒子線の減弱データについて、最新の加速器実験から導出された破砕反応断面積が組み込まれた最新のGeant4によるモンテカルロシミュレーションを用いて検討を行ってきた。今後、本手法を、我々が現在開発中である医用重粒子CTにより得られた実際の実験データに適用し、その効果について考察する予定である。一方で、重粒子線CTの画質向上の更なるアプローチとして、核医学の分野において開発されたFrequency-Distance Relation(FDR)法を重粒子線CTに適用するためのアルゴリズムの定式化を行った。本手法は、重粒子線が被写体内で多重クーロン散乱により進行方向が曲げられてしまう結果生じる空間分解能の低下を、最尤推定型画像再構成アルゴリズム等にかける前処理として、周波数空間においてその補正を行う方法である。この手法を、実際の実験データに適用した結果、再構成画像の空間分解能が向上することを見出すことに成功した(Japanese Journal of Medical Physicsに現在投稿中)。しかし、現状では、その向上の効果はわずかであり、理由としては、実際の実験に用いたファントムの厚さが10cmと小さいかったため、多重散乱による横方向の広がりの効果が実測データに十分現れていなかったことが挙げられる。従って、臨床応用を想定した場合に、より大きなサイズのファントムを用いた更なる追実験が急務であると結論された(平成18年度科学研究費若手研究(B)に申請中)。
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Research Products
(1 results)